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Since2013.10~「100万人の金色のコルダ」をベースに、吉羅暁彦理事長と日野香穂子の小説を連載していました。現在単発で吉羅理事長楽章ノベライズや勝手に楽譜イベ内容を補完した妄想小説を掲載中。R18小説・HコミックをDLSITEでダウンロード販売中。イラストや漫画も無料掲載中♪一部パスワードあり
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リリの提案により、吉羅は日頃の香穂子の努力に報いる形で、デートをすることになった。
吉羅が渋々ながらも引き受けてくれたのは、香穂子のレッスンへの集中力や上達ぶりを間近に見て、リリの説得に応じてくれたからだ。


吉羅と待ち合わせをした桟橋に向かう――
真冬の夕方から夜にかけて、暮れてゆく空に輝く街の灯りがとても美しい。
いつも時間よりも前に来ている彼の姿が見えると、香穂子の胸の鼓動は走ってきたからという以上に弾んでいた。

珍しくスーツ姿ではない彼が佇んでいるが、その立ち姿もキマッている。
上は黒に近いダークグレーのウールのジャケットで、見るからに上質そうな布地のものだ。
よく見ると細かく縦に織りの模様が入っている。

その下には淡いグレー地に水色のアーガイル模様が散らされたセーター。
いや、ボタンが見えるのでそれはきっとカーディガンなのだろう。
これまた高価そうな光沢のあるもので、きっとカシミヤじゃないだろうかと思った。
首には、鮮やかな瑠璃色をベースにしたタータンチェックのマフラー。
下は、ジャケットと合わせた黒のシックな細身のパンツだ。

イギリス風でまとめられた、コンサバティブで上品なカジュアルスタイルに香穂子は見入ってしまった。



彼よりも少し遅れて来た香穂子を、彼はやや呆れたような表情をして一瞥した。
「――アルジェント・リリの考えもまったく読めないが、君も大概だ。デートの相手に私を所望などとは、趣味を疑うよ」
自嘲しているのか、それと香穂子を揶揄しているような辛口な言葉が開口一番に浴びせられた。
むしろ自分には過ぎた相手で、高望みだと香穂子は吉羅のことを捉えているのだが、彼にとっては全く違った感慨があるらしい。


「だが、もちろん。学院のために努力を怠らなかった君を労う気持ちは充分にある。……問題は……さて、何をしようか。あいにく高校生を喜ばせる類の趣味を持っていないのでね」
吉羅は遠くを見上げて少し考えていたが、視線を香穂子に下げて微笑んだ。
しかし、それは何かの企みを含んだ毒のある笑みだ。
こういう表情をする吉羅は、おとなげなく香穂子をからかったり、彼女を困らせる発案を思いついた証左なのだ。


「……ああ、あの看板。ちょうどいい。この建物内にあるホールで、今ダンスイベントを行っているらしい」
「ダンスイベント……?」
唐突な提案に驚いた香穂子が目を丸くしていると、吉羅が指差す先の建物に目をやった。
「行ってみるかね?軽い気持ちで参加してみるのもいいだろう」


「か、軽い気持ちって言ったって……」
ダンスといっても種類はなんなのかわからない。
いきなり行けと言われても、しかも踊れというのは困る。
でもこれを否定したら、彼のせっかくのアイディアを無碍にしてしまうのも気が引ける。
「耳ではなく、体感で音楽を楽しむいい機会だ」
香穂子は意を決して、彼の勧めに従うことにした。
「……はい。じゃあ、行ってみます」


「――では、手をとりたまえ。エスコートしよう」
慣れた素振りでスマートに手を差し出す彼の掌を握る。
寒い中にいたのに、彼の掌はほんのりと温かい。
大きな手を握り、香穂子よりもやや先に歩いて行く彼に手を引かれながら華やかなダンス会場へと足を向けた。


会場の中は、飛び入り参加歓迎と書いてある。
ダンスフロアには踊っているカップルだらけで、香穂子はダンス用の華やかな衣装を纏っている男女を目で追っていた。
もちろん、香穂子と吉羅のように、デート最中に興味を惹かれて来たらしいカジュアルな服装の男女も混じっている。

フロアの中央にあるスクリーンでは、音楽に合わせて基本のステップを踏みながら踊る男女の動画が流されている。
「初心者は、あの教則動画を見て、基本のステップを覚えろということのようだね」
「あれは……」
「ウインナワルツだ。動きが大きくて派手に見えるが、実は振り付けやステップ自体はとても基本的なものばかりで種類も少ない」
「はあ……」

スクリーンの下では、上を見ながら踊りを真似している人たちがいた。
「準備運動がてらにあそこのステップを繰り返してみよう。なに、初心者でも簡単にできるものばかりだし、何よりも教則ビデオがあるのだから大丈夫だろう」
吉羅に手を引かれるまま進み、彼と手を握り合ったまま、合図に合わせて身体を動かした。
よく見ると、見本そのままを生で踊っている講師らしき男女がいて、口で数を数えながらくるくると舞い踊っている。
つられて踊りだす人たちもいるので、吉羅と香穂子もそれに倣うことを提案された。


「ちょうどいい、彼らについていくように真似してみよう」
どうすればいいのかと戸惑っていた香穂子だが、背の高い吉羅に引っ張り上げられるような形で体を踊らせた。
というよりも、彼に踊らされているようだった。
遠目からでは一見優雅に見える踊りも、実際に吉羅のリードに任せながら踊ってみると、なかなかに激しい。
目まぐるしく変わるステップや急激なターン等で、慣れないと目が回ってしまいそうだ。
初心者に等しい香穂子のペースに合わせると言ってくれていたが、最初はスローペースだったのだが、徐々にスピードアップしてくると、意外なほど運動量が大きかった。


練習をしているだけで体に汗が滲み、息が切れてくる。
リードする側の吉羅は香穂子を振り回していても、疲れた様子も見せずあくまでも余裕ありげに微笑んでいる。


「……疲れたかね?頬が赤い」
吉羅に指摘されて、香穂子は自分がかなりな運動をこなしたことに気付いた。
「……理事長、もしかするととても上手なんじゃないですか?」
「単純なルーティンの繰り返しだからね。一度憶えてしまえばあとは音楽に乗ってしまうことだよ」
その昔、かなりなヴァイオリン奏者だったと評判が高かった吉羅だからリズム感も優れているのだろう。


いつ、この人につりあう大人になれるのだろう。
近づいたつもりでいても、吉羅に似合う領域にまで到達するのは遥か遠い道のりに思えてくる。

「……そろそろ、帰るとしようか。君のお宅まで送って行こう」




香穂子は吉羅とダンスを楽しんで、帰りはタクシーで家まで送ってもらった。
「……ダンスは楽しめたかね?最後の方は、ずいぶん息が弾んでいたが」
「ええ、楽しめました。……いろいろな動作をなんとか覚えましたし」
「ステップを覚えたようなら結構。こうして社交場に慣れることも、音楽家としての将来には重要だろう。演奏会の終了後のパーティーで、このように踊る機会が巡ってくることもありうる」
「そうですね」
「……それにしても。腕を組む我々は、他の客からどう見えていただろうね」
「……カップル、ですか?」
香穂子が首を傾げながらそう告げた。
それは彼女の抱く願いでもある。
そう見られていたなら嬉しいし、カップルだと思われたかった。
しかし、吉羅が他人からの視線を気にしているとは意外だった。


「カップル?……それはどうかな。あいにく、君と私から醸し出される雰囲気は、まだその域に達していないよ」
「そうでしょうか……」
言下に否定されてしまった香穂子は、残念そうに肩を落とした。
確かに、さっきまでのダンスを振り返ると、あれではダンスの達者な吉羅が香穂子専任の講師役を務めていた、それだけなのかもしれない。
先生役の吉羅と、未熟な生徒の香穂子。
傍から見ればそんなものなのだろう。

吉羅は香穂子を教え導く立場で、彼に指導を受ける立場の香穂子、そういう図式だけは崩れないのだろうか……


「そもそも――君と私がそういう関係であれば、ダンスをしただけで帰しはしない」

優しげな微笑とともに、吉羅からなんとも意味深な言葉が出た。



それってその……
つまりは、その……
それ以降にもあれやこれやが待っているということで……


香穂子は混乱してしまって、たちまち頬が火照り、心臓が激しく脈打っていくのを感じた。
胸を押さえていないと、心臓がせり上がってきて喉から飛び出そうだ。
全身が発熱したかのような熱気を発散させてきたのを自覚すると、ますます動悸が激しくなっていく。

「……ふ、ほんの戯れ言だよ。聞き流して……早く家に入りたまえ」

まだ呆然としている香穂子に、更に吉羅は言葉を重ねた。
「ま、今後の関係は、君の将来性に期待というところかね」

そう言うと、吉羅はタクシーに再び乗り込んだ。
軽く手を振る吉羅の姿を見つめてから、香穂子は門扉に手をかけた。




香穂子はただいまの挨拶もそこそこに自室に入り、ベッドに伏せた。

それってつまり。
恋人同士になるのなら、ダンスが終わったら、きっと……
待ってるのは、こういうことで……
手を握っていた吉羅、香穂子の腕を、肩を抱くようにして踊りを教えてくれた吉羅のぬくもりを思い返すと、心地よさと恥ずかしさで叫びだしそうになる。



ああ、それにしても。
高校生相手になんてことを言ってくれるんだろう……


――いつもいつも、彼の思わせぶりに翻弄される。
冷たさの中に温かさを見出したかと思えば素っ気なく接される。
突き放されたかと思うと、急速に距離を縮めてくる。
今日、彼と踊った時の戸惑いと。
彼にリードされているなら安心だという安堵感との間で、揺れ動く。
彼の肌のぬくもりと体温と。
人を惑わせるような視線と微笑みと、意味ありげな言葉とに動揺させられる。


甘さと切なさと嬉しさが縦横に香穂子の体を駆け巡る。
踊っていた時の浮遊感が今も続いていて、ベッドの上から体が数センチ浮き上がっているような感覚があった。

振り回されているのがわかっているのに、それが快かった。
心地よい疲労と心が浮き立つ幸福感に包まれながら、香穂子は眠りについた……



(一応終わり)
(中盤。ダンスの部分が全くシナリオになかったので、検索しまくってなんとかでっちあげました)

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>tokieさん
コメントありがとうございます♪
文章化といっても、短いシナリオの間を繋げつつ、シナリオでは殆ど触れられない香穂子ちゃんの心情を
妄想しつつなので、本来のものとはかなり違った出来になってると思います(^^ゞ
大体、踊りに行くなんつうシチュエーションなのに肝心な踊りの部分が全部省かれていて唖然としました( ゚д゚)
みなとみらいホールのダンスイベント、冬じゃなく秋になら大々的にやってるみたいだけど
架空のものだったらしいから、調べてなんとかそれらしく書くのにも妄想に次ぐ妄想で捏造しました♪

今は、昨日の午前中に下書きだけ描いておいて、その後頭痛に襲われてイブ中に描けなかった香穂子
ちゃんと理事長の、ちょっとラブっぽい絵の色を塗ってるところです(=・ω・)ノ
夕方までにアップできたらいいけど、腰が痛いわケーキ買いに行きたいわ(私はあくまでも小さい
ケーキ一つあればいいので)で、休憩入れつつ集中作業します♪
yukapi URL 2015/12/25(Fri)09:26:02 編集
無題
イベお疲れ様でした。次イベ告知バナー、また理事長脱ぎそう〜(#^.^#)しかも温泉って…ドキドキ。いいのだろうか?高校生。
tokie 2015/12/25(Fri)15:44:48 編集
>tokieさん
ビーズログというゲーム情報誌で、温泉イベの予告があったそうで…理事長、また思いっきり脱いでる!
私も脱がそうか(最近エロ絵描いてる時間が全然ありませんorz)

しかし、間にお休みが二日間しかなくてすぐに次のイベ…私は嬉しいけど、やめてくれとか疲れたという声もありますね~。
でも正直もんのすごく楽しみです♪早く理事長様のセクシーシーンを堪能したい(*´д`*)
yukapi URL 2015/12/25(Fri)17:57:57 編集
プロフィール
HN:
yukapi
性別:
女性
職業:
イラストレーターみたいなもの 自営
趣味:
読書。絵を描くこと、文章を書くこと。
自己紹介:





なんだかいろいろと絵や漫画を執筆中。…吉羅理事長勝手ノベライズ+捏造小説他公開中.理事長ゆず風呂漫画3完成して一応完結しましたw





100万人の~をベースに現在の時系列で勝手ノベライズ&完全空想エロありエピソードを書いています。時に微エロ・ハードエロありですのでご注意を!







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