ひっそりと続いています、このマンガ。ストックが切れたのでそのうちネームを線画に起こします。
それより、去年発売して大好評を得ましたR18テキストの書き下ろし「危機」の続きが浮かんで、今書いています。
(香穂子ちゃんが痴漢にあって理事長に救われ、なんだかんだでラブラブ展開になって恋人関係になるお話。18禁展開でございます)
今回は理事長の独白視点で書き始めたら、なんだか色々浮かんできました…
本編100コル65章までの理事長様が、香穂子ちゃん的にはあまりに惨い展開で恋心が迷走する先行きに思えたので、補完したくなったのかも。
書き上げましたらDLSITEで販売予定でございます、今暫くお待ちくださいませ(*‘ω‘ *)
ところで、R18漫画でまだ未発表のがあるんですが、それもまとめようかなと思いました。
そちらもいずれDLSITEにアップを考えております。
「――そこで、何をしているんだね?」
香穂子が森の広場でヴァイオリンケースを手にしていると、誰何される声に振り向いた。
そこには見たことのない長身の男性が佇んでいた。
見るからに仕立てのよさそうなダークスーツを身に着けている立ち姿は一分の隙もなく、嫌味ほど決まっている。
端正な顔立ちは、おそらくまだ若い。見たところ30歳前後といった辺りだろう。
茫洋とした風貌の音楽教師の金澤よりも、少しばかり歳は若そうに見える。
香穂子に話しかけるこの男こそ一体何者だろうか?
薄暗い時間帯に、背後から若い男性に声をかけられたことで、香穂子は警戒心で身体を硬くする。
身を守るようにヴァイオリンケースを胸の前に抱えた。
「あの……失礼ですが、……どなたですか?」
「ああ。そうか、君から見れば、私の方こそ不審に思われるかもしれないね」
男の持って回った口調に、香穂子は僅かに苛立ちを感じた。
「その制服は、普通科の生徒だね。だがしかし、ヴァイオリンケースを持っている。――差し詰め選択教科が音楽や、あるいは音楽関係の部活の生徒といったところか?」
制服で普通科と見破られ、ケースがヴァイオリンのものだと知っているということは、少なくとも学院のことを知らないまま侵入してきた不審者というわけではなさそうだ。
「私は吉羅暁彦という。ファータ……アルジェント・リリをはじめとする羽のある連中とは、いささか因縁のある身でね」
思いもよらないことを聞かされて、香穂子は驚きで訊き返した。
「ファータ……リリのことを、ご存知なんですか?」
「ご存知というか、連中とは腐れ縁とでもいうのかね。これからは、時々こうして私を見かけることもあるだろう。別段、怪しいものではないと見知り置いてくれたまえ」
「……失礼ですが、吉羅さん、あなたは教師には見えませんけど。じゃあ、どういった立場の方なんですか?」
疑問を素直に話すと、更なる驚愕の事実が彼の端正な口唇から発せられた。
「私はこの学院の理事長だ」
驚きで、香穂子は絶句する。
「正確に言うと、理事長になるのは、もうすぐ行われる次の理事会で正式に選任されてからになるがね。……これで得心がいったかね」
「既に、理事長になることが内定されているということですか」
「そういうことだね。あとは形式だけの会議だ。私を理事長に選任したという議事録を残さねばならないのでね。
……まったく、くだらない形式ばかりに拘泥して、実利を重んじようとはしない。それだから、ここまで斜陽となっても過去の栄光の残骸にすがっている。私は、そんなこの学院の体質改善を仰せ付かったというわけだ」
国語の得意な香穂子でも、吉羅の駆使する難解な表現がやっと理解できた。
尊大な、人を人とも思わぬ口調。
それもそのはずだ、学院の上層部の人間。
この男、吉羅暁彦は学院創立者の関係筋なわけだ。
なんでも、創立者は結構な資産家の家柄らしいと噂で聞いていた。
「では、失礼。君も遅くならないうち、早く帰ることだ」
軽く踵を返して歩き去る吉羅の後姿を、魅入られたように見つめてしまう香穂子だった。
何せ妄執の全てをスマホでのスクリーンショットに懸けた、馬鹿なワナビ漫画家の妄想を披歴する場に相応しいのかどうか。
とりあえずブログ記事は折りたたませてもらったので、そのつもりでいてくれたまえ。
右下の「つづきはこちら」を押すと広がるが…
スマホからは丸見えなのはどうしたわけだ…!
実はもう2013年秋口に勝手にやってたのですが、何故か40章くらいで途絶しちゃってたのを、もう一度修正したりしつつ再掲していきます。
今もスマホ腱鞘炎ぽくて、相変わらず右手でスマホを弄るのは極力避けています…
コンプリートブックが全くお話について触れていないに等しいのですが、楽章を完全にテキストに起こす形ではなく、合間の香穂子ちゃんの表情や心情等を織り交ぜながら小説仕立てにしてあります。
コーエーテクモス様、ルビーパーティー様とは一切関係ございません。
あくまでも私の脳内妄想であるという前提においてお読みくださいませ。
下の方に出てるのは、2013年お花見イベのノベライズと挿絵を再掲しています。
これの後半がまた感動的なんですよね…。え~…多分もう少ししたら書けると思います。
膨大なスクショ画像から探してみることから始めないとw
吉羅理事長の2013年度の期間限定楽譜イベは、皆神がかっていたと実感しています。
――春休みのある日、香穂子が学校で練習した帰りのこと。
すっかり暖かくなってきて、桜が見頃なので近くの神社に立ち寄ると、そこには意外な先客の姿があった。
……理事長の吉羅だ。
物憂げに桜を見あげ、ひとり佇んでいる。
少し離れた場所から彼の姿を見ていて、声をかけようかと迷ったが、声をかけない方が不自然だと思い立ち意を決して彼に近寄る。
「……理事長?」
「ああ、日野君。今帰りかね?」
吉羅は香穂子の方を向いた。
「はい、そうです。理事長はこちらで何をなさってたんですか?」
「何をって?……別に何も。この近くを通りかかったら花が見事だったので、暫く眺めていただけだ」
「私も、桜があんまり見事だったから立ち寄ったんです。今は桜が満開で、とてもきれいですね。理事長と同じように、つい見とれてしまいます」
香穂子は桜の花を見あげ、溜息混じりに感嘆の言葉を述べた。
「さて……それはどうかな。同じように桜の花を眺めていても気持ちまで同じとは限らないよ」吉羅は唇の端を皮肉っぽい笑みで歪めた。
何かとても含みのある言い回しと表情に、香穂子はひっかかりを感じた。
「腑に落ちないといった顔をしているね。それでは、君はこの桜を見てどう思う?」
「それは……そうですね。気分が高揚するっていうのかな。そんな感じがします」
香穂子は思うところを素直に口に出した。
春になると一斉に、その暖かさを歓迎するように花開く桜。
思えば入園・入学式の頃にも咲き乱れるその姿は、まさに春の喜びそのもののようだと香穂子は感じている。
祝うべき行事や門出の時に美しい花吹雪が舞う。
それは桜の花からの祝福のようにも感じる……
「なるほど。春は生命力に溢れた季節だ。今を盛りと花をつけた桜はその象徴のようなものだからね。君の年頃なら、この咲きぶりに感化されて、気分が高揚するのもごく自然なことだろう。――かつては、私も春が来るたびに胸の躍る想いがしたものだよ」
香穂子が怪訝そうな表情をしているのを見て、吉羅はフォローの言葉をかけてきた。
「ああ、君のことを馬鹿にしているつもりではないよ。私がとうの昔に失ってしまった感情だと懐かしく思っただけだ」
「それなら、理事長の目にはこの花はどう映っているんですか?」
香穂子は率直に尋ねてみた。
桜の花の美しさを素直には喜べずにいるという彼の心情を知りたい。
さっき、神社に入った香穂子から見ると、桜を見あげる吉羅の表情は憂いを帯びて曇っていた。
「満開になった頃を見計らうように、花を散らす雨が降るだろう。そうでなくても、桜は花を開いたかと思うとあっという間に終わる。……一斉に花を散らすその様は、人生に例えられることもある。花発(ひら)けば風雨多し、人生、別離足る――」
吉羅は視線を桜にやったまま、はらはらと散りゆく花弁を目で追っていた。
「――桜には、はかなさを感じずにはいられない。……花を散らす雨など降らなければいいのだが、そうもいくまいね」
吉羅は、遠い瞳で桜を眺めている……
彼は立派な大人で、誰の目から見ても成功者に映る。
いつも自信に溢れていて、人生に迷うような人間にはとても見えない。
何故、彼は桜を見て感傷的になるのだろうか。
香穂子はそれを不思議に思って首を傾げた。
「君は、今はまだそのままでいい。大人になればわかる時がくるだろう。……ああ、思いの他長居してしまったな。私は失礼するが、君はゆっくりと桜を楽しんでいきたまえ。――それでは」
そう言い置いて、吉羅は立ち去って行った。
……彼は、桜を見て何を考えていたのだろう?
彼は香穂子に言ったように、とても桜の美しさを楽しんでいたようには思えなかった。
……彼の心の裡を知りたい。
何故あんなに切なげな眼差しを桜に向けていたのか。
何か悲しい想い出がまつわっているのだろうか……
彼が残していった言葉や表情の端々から、哀切なものを感じて香穂子の胸が鈍く疼いた。
(第二段階に続く)
なんだかいろいろと絵や漫画を執筆中。…吉羅理事長勝手ノベライズ+捏造小説他公開中.理事長ゆず風呂漫画3完成して一応完結しましたw