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Since2013.10~「100万人の金色のコルダ」をベースに、吉羅暁彦理事長と日野香穂子の小説を連載していました。現在単発で吉羅理事長楽章ノベライズや勝手に楽譜イベ内容を補完した妄想小説を掲載中。R18小説・HコミックをDLSITEでダウンロード販売中。イラストや漫画も無料掲載中♪一部パスワードあり
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理事長様お誕生日アイテム買いましたwww
これは理事長ファンにはお勧めwww
そこで気になるプロローグ的な部分だけ絵に起こしてみますたwwwww
 

どうですかこれ!
続き気になるでしょう、これ!
買いませんか!
買って吉羅理事長様の、いかにも理事長様らしいところを見てみませぬかwwwww
というか使え!脱げ!!
脱ぐんだあああああ!!!

……失礼致しました。
腰が痛いつうのに、あまりに腰椎がこわばっててお灸据えてもらったのに描いてる私って……(´・ω・`)

続きも絵物語もしくは捏造コミカライズしたいです♪
見たいという方は拍手ボタンをポチッと押してくださいませ( ̄ー ̄)ニヤリ

描きあがった作品、上に掲載しましたが裸体でしかもフルカラーですのでパスワードをかけさせて戴きました(´・ω・`)
作者が今ドハマりしている楽曲のタイトルがそれでございます。
ヒントは(LTE←スマホ通信制度でじゃなくバンド名)(インストロメンタル)

ど~してもわからないのであれば拍手・またはフレ様はブラコメかチャットでお知らせくださいませ( ̄ー ̄)ニヤリ

拍手[10回]

PR

――正月三が日。
この期間だけは、異様なほどの静けさに覆われる街中が、私は嫌いではない。
今時はデパートやスーパー等も元日から営業するのが当たり前であるかのように店を開いている。
正月もまた勤勉であらねばならないというのは、日本人特有の勤労感覚ではないのだろうか。

この歳になると、浮き立っていく街の喧騒にも心が騒ぐことなどない。
年越しの最中に書類の仕事をしていて、気付くといつのまにかテレビが新年を告げていた。
そうしていて思うのは、年が改まったからといって、さして私の置かれる状況が激変するわけでもないということだ。

学院は相変わらず経営の危難を迎えぬよう気を配らねばならない。
強いて言えば、これからが受験シーズンを迎えるので、私の多忙さにも一層の拍車がかかる見通しだけはわかっている。
いくら消化したつもりでも、次から次へと決済書類の山が湧いて出てくる。
尽きることのないルーティンワークに晒されているうちに、いつしか時間の感覚や、季節に対する感覚さえも鈍磨していくようだ。

――さしもの私も、疲れを感じているようだ。
ネクタイを緩め、ソファにゆっくりと体を沈める。
このまま作業を続行しても益がないので、少しの休憩と仮眠をして、作業効率の向上を図ろう。

ドアがノックされる音が響く。
それを夢のように漠然として捉えつつも、瞼が重くてたまらない。
今日は正月の三日だ。
よもや訪問者などはあるまい、年始回りは通常の業務が開始される明日の四日以降のはずなのだ。

私の返事がないので、来訪者は再び扉を叩いた。
この、軽く柔らかい叩き方には覚えがある。
「……どうぞ」
少しの間を置いて、私はどこか寝ぼけたような声を出した。

「……失礼します」

少女の高く澄んだ声とともに、空気の色までが変わっていくようだ。
彼女……日野君は、ピンクを基調とした可愛らしい服装をしていた。
ソファに横になっていた私が身体を起こすと、彼女はやや驚いた調子で私に声をかけてきた。
「あ……寝てらしたんですか?もしかして体調が悪いとか?」
「いや、そういうわけではないよ。ただ少し休憩していただけだ」

「あの~……これ、……よかったら、召し上がってください」
彼女は手にしていた上品な布で包まれた物体を差し出した。
「ほう。これは何かな?」
「あの、おせち料理です。……もしかして、理事長はお夕食まだじゃないのかなって思いまして」

私は一つ大きな息をついた。
「……ご明察だ。で、なにかね。君は、わざわざそれをお家から私のために届けに来てくれた、ということなのかな」
「ええ、まあ」
彼女は照れくさそうに笑ったあと、小さな声で独りごちた。
「……それだけじゃ、ないんですけどね」

「せっかくの心づくしだ。ありがたく頂戴するとしよう」
私は絹織物の風呂敷をほどくと、小さな一人前用の重箱を開けた。
黒を基調にしたシックで重厚な造りのものだ。
「君は、夕飯はもう済ませたのかね?」
「ええ、私はいいんです。……待っててくださいね、今、お茶を淹れてきますから」

新年早々、思わぬ客の来訪に私はついつい微笑を浮かべてしまった。
重箱の中には、とりどりの食材の御節料理が詰められている。
和食も魚料理も好きな私にとっては、ありがたいことこの上ない。
手作りらしき卵焼きは、きっと日野君自身が焼いたものだろうか。
優しい甘みと、口の中にふわりと広がる柔らかな食感が、疲労の蓄積した身体に染み渡るようだ。

間もなく、日野君がテーブルに桜茶を持ってきてくれた。
それも桜の花とともに、金粉が浮かんでいる。
「ほう……これは。金粉入りの桜茶か。なるほど、新年の祝い事には相応しいものだね」
私は感心し、彼女の心配りに目を細めていた。
「それから、もう一つ。……理事長、お誕生日おめでとうございます」

にこにこと微笑む彼女の口から祝いの言葉が出た。
一瞬、本気で自分の誕生日だということを失念していた。
「……ありがとう。君にそう言われるまでは、自分の誕生日だということさえ忘れていたよ」

「本当ですか?」
誕生日を忘れたと宣う私に驚いたのか、彼女の声音が高くなる。

「……あ、お節、あらかた食べ終わったんですね。……どうでした?」
「ああ、おいしかったよ。ありがとう。……ところで、卵焼きなんだが。もしかしなくても、君が焼いてくれたものだったのかな?」
日野君の顔に、たちまち赤みが射す。
本当に、この少女は隠し事などできないのだな。
私はある意味感心しつつ、彼女の表情の変化を眺めていた。
「……はい。そうです。……どうしてわかったんですか?」

「強いて言うなら、勘だとしか言いようがないな。味が、すぐに君を連想させたのだ……と言えばいいんだろうかね」

「――あの。お食事も終わったところですし。私から、もう二つプレゼントをさせてください」彼女が立ち上がると、足元に置いたヴァイオリンケースに手を伸ばした。
――二つ?
二つとはなんだろう。
ひとつは演奏だろうが、もう一つは……

やがて、彼女の手による甘く優しい響きの「ハッピーバースデー」が奏でられた。
あまりにも有名な短い曲を、こうして私のためだけに弾いてくれるとは。
その演奏にこめられた気持ちが痛いほど伝わってくる。
――告げてはならない、禁忌の言葉。
二人のこれまでの関係を瓦解させてしまいかねない、そのひとこと。

「……ありがとう」
私は軽く拍手をすると、上気した彼女の顔を見やった。
「そうだ。えっと、その。最後に、もう一つプレゼントが」
「まだあるのかね?……これだけでも、私には分に過ぎた祝いだと思うんだが」
私は苦笑しつつ彼女の背中を見ていると、小さな箱が手渡された。
「気に入って戴けるといいんですが……」
「開けて見てもいいかね?」
「どうぞ」

そこには、私の愛車のメーカーのキーリングが入っていた。
決して安価なものではないはずだが、さて、どうしたものだろう。
「車とお揃いか。……ありがとう。有効に使わせてもらうよ」
彼女はほっとしたように私の手元を見つめている。

「もう夜も遅い。……君のお家まで送っていくよ。早速キーリングの出番が来たようだ」
その私の言葉に、彼女はあからさまに落胆した表情を浮かべた。

「食事を戴いて、満腹になったら眠気が差してきた。私もこれで仕事は切り上げて、家に帰るとするよ。明日からは年始参りであちこちに挨拶に出向かなければならないしね」
「……そうですか。……じゃあ、今夜はゆっくり休んでくださいね」

理事長室の照明を落とし、鍵をかける。

駐車場へ向かって歩くが、今夜はさほど寒くはなかった。
車に乗り込んで……夜のドライブと洒落込みたいところだが、それにしてはもう時間が遅すぎる。
残念ながら、ドライブは次回に延期するしかなさそうだ。

「いつからお仕事されてたんですか?」
「単に書類だけなら、元旦からだね」
「ええっ、元旦からですか?学院に出向いて?」
「昨今は、個人情報の保護だのなんだのとうるさいご時勢だからね。迂闊に書類を自宅に持ち帰ることもままならないんだよ。だから、必然的に学院に赴いて仕事を片付けねばならないことになっているんだ」
「……大変ですね……」

「ま、世の中見渡してみれば、元日から働く人々はかなり多いと思わないかね?鉄道等の交通機関、輸送業、神社仏閣等。デパートも当たり前のように開いているし、飲食を扱う店、コンビニやスーパー。元日から働かねばならない職務の人間も決して少なくはない」

「……無理は、しないでくださいね」
日野君が、真剣な顔つきで私を見つめる。
「世の中がそうだからって……理事長がお忙しいのはわかりますが。……今日だって疲れてらしたみたいで……」
「心配しなくとも、適宜休憩は入れているよ。それに、今日は君に誕生日祝いをして貰えるという思わぬ出来事にも遭遇したしね。……いい休息と、気分転換ができた。働きづめでいるのも、悪い事ばかりではないな」

「絶対、今日も理事長室にいると思ってました」
ぽつりと日野君が呟く。

「……でも、よかったです。今日、理事長のお誕生日に逢えて、お祝いできて」
「ああ、そういえば……重箱はどうしたかな。君に返さなければ」
「そうですね。――そしたら、来年も作ってお持ちできますね」
私はゆっくりと首を振る。
「……いや。あれは一人前用だったろう?来年は、君と二人分を、一緒に分け合いたいものだね」
「……えっ」

日野君の身体が、一瞬固まったようだ。

「そして、また――」
来年も、こうして誕生日を祝ってもらえたなら。
日野家の門前に車を停めつつ、胸の裡で独り呟く。

「ああ、お宅に着いたよ」
「あの。またって、なんですか?」
日野君は言いかけて中途で切った私に食い下がってくる。
「いや。今度は、私が君の誕生日に何を贈ろうかとね」
私は微笑むと、彼女はそれ以上の言葉を発せられなくなったようだ。

「おやすみ」

私は軽く手を振ると、どこか弾んだ心持のまま車を発進させた。
酒を飲んだ訳でもないのに、身体の芯から温まるような、そんな心地よさが身体を満たしていた。

(おわり)


やっとのことでひねり出した、理事長様のお誕生日のお話です。

次はこれを香穂子ちゃん視点から読みたい人、拍手をポチッと押してください(*^_^*)


理事長~!ゆ・ず・風呂!!
使えよな!!!!!使うよね!!脱ぐよねっ!!!ねっ!!!

拍手[11回]

真冬の凍てつく大気がピンと張り詰め、刺すような冷気が襲う。
肺腑の中に降りてくる冷たさが尖った氷の欠片のようで、喉を強く刺激する。
暖気の効いた車の中で、先刻まで私の体を取り巻いていた眠気など雲散霧消させてゆく、突風。
海からの風が、遮蔽物のない突堤に佇む私の体を容赦なく煽る。
強風に揺すぶられて白く泡立つ海面。

夜明けを迎える少し前、曇天が重く垂れ込めて陰鬱な冬の空を青灰色に塗り潰していく。
夜と朝の狭間の僅かな時間。
空と海との境界さえ曖昧な、鈍い色合いに覆い尽くされる。

北から吹き付けてくる風が私の髪を乱す。
少し伸びてきた癖のある髪が、少々鬱陶しいと感じた。
だが、彼女はまだ切らないで欲しいと言うだろうか。

徹夜で完成させねばならなかった書類を仕上げ終え、夜が明けゆく暁の中、車を走らせて家に戻る帰路。
途中で少々眠気が襲ってきたので、目を覚ます意味で車を突堤に停め、波止場へ歩を進めた。

ざわめく風が、うねる波間を吹きぬけてゆく音が、何かの音楽に聞こえる。
――そう、あれはドビュッシーだったか。
波と風との争うような音を表現している作品があったのを思い出した。

いつだったか、彼女が練習に明け暮れ、それでも納得のいく音が出せずに自棄になった風な荒れた音を響かせたことがあった。
そんな荒み軋んだ音を聴くに堪えかねて、私が強引に練習を止めさせた。
気分転換と称して、冬の海辺に彼女を連れ出した。

あの日もやや風が強く、冷たかったのを覚えている。
ろくに言葉も交わすことなく、浜辺から夜の海を眺めた。

――彼女が奏でていた音が荒れていたのが気になり、命令に近い強さで練習にストップをかけた。
「どうしてもうまく弾けない、指が回らない。そういう時もあるものだ。一晩眠れば指の動きが固着して、いい結果が出るかもしれない。……あくまでも可能性だがね。――私は、口先だけの慰めなど言わない。君も、私にそんなことを期待してはいないだろう?」
「……はい」
彼女は私の言葉に納得したようで、頷いた。

その場しのぎの、耳に心地いい慰めなど必要はない。
事実をはっきりと指摘する、それで彼女に区切りがつき前を向けるはずだ。
彼女はそのような心の強さを持ち合わせているはずだ。
それは一種の信頼のようなものだった。
見た目は折れそうに細い彼女の裡には、しなやかで決して折れない芯があるのだと。

多くを話さず、ただ黙って2人で冬の海を見つめていた。
吹き付ける風につれて波濤が揺れて、大きく盛り上がり、やがて砕け散る。
はるかに広がり、砂を拾ってゆく浅い波。
沖からゆっくりと起き上がってくる黒い水の塊を見つめていると、自分がそこに引き込まれそうに感じた。

彼女との沈黙は不快ではなく、静寂のただ中、リズムを刻む波の音を聴くに任せていた。

言葉は時として不要になる。
心拍と波の音とが重なり合う。
水平線の果てから、近付いては去っていく波。
無限とも思えるその繰り返しを見ているうちに、僅かずつだが確実に体熱が奪われていくのを感じた。

私の隣にいる彼女の横顔をちらと窺う。
口数の減った私に合わせてか、彼女も何も話さない。

「――君は今、何を考えている?」
「……理事長が、何を考えているのか。それを思っていました」

「……そうか」
同じことを考えていたのか。
「我々はまるで合わせ鏡のようなものだな。……お互いを限りなく映しあう」
彼女が私を見上げている。
「私は何も考えてなどいないよ。ただ――暗く、静かで、冷たい。この海を見て、君の心が少しでも落ち着けばそれでいい」


寒そうにしていた彼女に直接風が当たらないように、私はそっと彼女との距離を詰めてから、ややあって。
――彼女の方から私に体を寄せてきた。

「あったかい……」
ぽつりと彼女は呟いた。
いつもの高いソプラノの声をやや落としながら、私に話すともなく。

「――人を、風除けにするつもりかね?」
そのつもりで自分から彼女に寄ったくせに、私ときたらいつもの調子で皮肉な言葉を返すしかできなかった……

「冬の空と海の間で、余計なことを考える必要はない。生きている人間は暖かいということが感覚でわかれば、それで充分だ」

彼女の頬の赤みが薄れているのを察し、私は彼女に帰宅を促した。
「もう少しここにいられればいいが、そうもいかない。――時間だ、送って行こう」

風邪をひかせてはいけない。
さまざまな想いが胸を去来するが、私は何も言えなかった。
帰路の車内でのヒーターの温度を上げ、私は彼女に温かいカフェオレを渡した。
FMラジオがかかっていた車内で、やはりあまり話さなかったのを記憶している。

……まるで、昨日の出来事のようにはっきりと覚えている。
彼女と過ごした時の小さな想い出のひとつひとつが、時に私の胸を暖め、時に――切り裂くような痛みをもたらす。

今この場に彼女がいたなら。
私はどうするのだろう。
どうすることもできず、隣でただ立ち尽くしているだけかもしれない。

勇気がなくて。
怯えていて。

――触れることさえも、恐くて。

 

大きな波が弾け、飛沫が飛んできた。
不意に冷たい水を浴びせられて、頬が歪む。
悪天候にならないうちに帰り着かなくては。
遥か東の空はやや白み、夜明けを迎えたのだという気配を伝えてきた。

今は、穏やかな音を聴きたい。

快く眠りを誘う緩やかで繊細な音。

――家に帰り着いて、眠りに落ちる前に聴きたい。
彼女の奏でる、拙いのに暖かく切ない音を。

彼女にメールをするにもチャットアプリを送ろうにも不似合いな時刻だ。
今頃は暖かなベッドで眠っている頃だろう。
彼女が好む、柔らかなピンク色で統一された優しい色合いの部屋で。

願わくは彼女に訪れる眠りが、幸せであるように。
いつでもそう祈っている。
例え君には届かなくとも。

――そう、いつまでも…………


(新春2013通常ノベライズも時間があれば取り掛かるかも、です)
(今回は理事長からの視点ということで第二段階に特化しました。続き希望・よかったと思われたら是非拍手ボタンを一押しお願いします)

拍手[7回]

一部で反響の大きかった、香穂子ちゃんと理事長のエロエロマンガ「賭けの結末」、半額キャンペーンをすることにしました…
定価で購入してくださった方々には申し訳ありません<(_ _)>

期間限定半額キャンペーンで、2017年2月6日正午まで半額で販売いたします。


卒業する前、二年生だった香穂子ちゃんと吉羅理事長とが交わした一つの「賭け」。
その報酬は「君の大事にしているものを貰う」というもので……
ということで処女を奪われてしまう香穂子ちゃんと、意地悪で強引だけれども基本的には香穂子ちゃんを楽しませてあげようという、サービス精神豊かな吉羅様の愛とエロ溢れるお話です。

「賭けの結末」324円→162円




ちょっと劇画調にしすぎたかなーとかエロがモロっぽいとか生々しいとか

あれこれ反省点はありますが、数ヶ月近く描いて、その場その時のできうる限りの愛と煩悩を、吉羅様と香穂子ちゃんに捧げました!

よかったら上のリンクから飛べるサンプルをご覧になってくださいませ
(去年のブログ掲載時は鉛筆のみでしたがかなり手を入れ、お話もだいぶ変更しました)

拍手[1回]

吉羅理事長様のお誕生日アイテム「ゆず風呂セット」の予告が出ました♪
そんでもって妄想のまま描いてしまったのがシャワー浴びてる理事長様(*´д`*)(*´д`*)ハアハア


最初描いてたら衛藤君ぽくなったと思った…やはり従弟か…なんてのは置いといて!
妄想のまま突っ走ってマンガを描こうと思いました(`・ω・´)シャキーン
中身見もしないで!
というか理事長脱ぐんでしょうね脱がせるんでしょうねえええ!!

脱がせるの待ってられないから私が脱がしたるわあああという意気込みで勢いで描いた!

続きを描いて欲しい方は拍手をくださると、喜んだ作者が後日ちゃんとエアブラシ入れてアップします( ̄ー ̄)ニヤリ


☆今回のクリスマス幻想曲、早々にスチルノートセット(+楽譜とスチルノート、ノマ譜1、ルーペ3メトロノーム3とアップルパイ3で定価千円のところ、17日土曜の14時まで800円)を買って見ましたが課金しただけの満足感を得ることはできました♪(個人の感想です)
これまた後日談ができそうな感じで、にやけてしまいました

拍手[3回]

 薄ぼやけた明け方近くの部屋で、ライターに火をつける。
今までに数えるほどしかしなかった動作なので、どうにも覚束ない。

幾度か失敗して掠れた音だけが虚しく響き、火花が弱々しく飛んではすぐに消える。
数度目で火がつき、ライターの炎が急速に空中に立ち上がるように細長く伸びた。

午前三時、眠れない。
姉が亡くなってからというもの昼夜逆転の生活が続き、昼となく夜となく悪夢に追い回される日々を過ごしている。

家のドアをそっと開けて、24時間営業のコンビニに足を運ぶ。

深夜徘徊など殆ど経験したことのない僕にとって、家の近所とは言え真夜中の外出はスリリングだった。
まさか補導されるとか、職質などかけられはしないだろうが。
挙動不審に思われないように、できるだけ注意して振舞おうと心がけた。

陳列棚にあったライターにふと興味を惹かれて、何気なく手にとってみた。
このところ酒ばかり飲んでいたが、そういえば煙草は試したことがなかった。
未成年だからとできなかったこと、やりたくてもやれなかったことに挑戦してみたいという衝動にかられた。

ライターと安っぽい灰皿を先に手に入れ、コンビニから少し離れた場所に置かれた煙草の自販機に向かった。
何が美味いとか不味いとかの予備知識は全くない。
少し迷った挙句に、よく店頭や広告で見かける有名な銘柄を買うことにした。

20本で400円か。
これが高いのか安いのかもよくわからない。
どういったものか試してみても悪くない、程度の気持ちで僕は煙草を手にして自室へと戻った。

ライターの火を煙草の先端に移そうとしたが、なかなか着火してくれないので少々苛立った。

やっぱりやめろということなのかな。
ふっとそんな想いがもたげてくるのは罪悪感からなのだろうか。

……もしも姉さんがここにいたら、呆れて僕を叱りつけるだろう。

あの柔らかな口調を少しきつくして。
僕の手から煙草やライターを奪うかもしれないな。

容易に想像できる彼女の反応を思っていたら、ようやく赤い火が灯った。
僕は暫しぼんやりと光る火口を見つめていた。

これではただ煙草が燃えていくのを見ているだけだと気付き、灰が落ちそうになるところを、慌ててガラスの灰皿に叩いて落とした。

どんなものなんだろう。
苦いとか渋いとかいう噂は聞くが……

僕は、少々ドキドキしながらも煙草を口元に持っていった。
紙の吸い口を唇に挟み、ゆっくりと吸い込む。

少しして、喉にいがらっぽさと苦さを感じた。
ほんのりとした、焦がしたコーヒーと似た臭気も鼻腔から落ちてくる。

……なんだ。

思ったほどの不快感もなく、それほどの抵抗もなく、あっさりと僕の体は煙草という異物の侵入を受け容れた。

煙草は二十歳になってから。
パッケージの側面に書かれた白々しい文章を読み、嘲笑が僕の唇を歪ませた。
紫色の煙がゆっくりと空気中に広がり、やがて周囲と紛れて消える。

ふう、と吐き出す僕の唇からも煙が立ち上る。

……こんなものか。

もっと苦しくてむせるとか、咳き込むとか、ありきたりな現象を予測していたのだが、僕はそうはならなかった。

今は落ち着いた気分で、くゆらす紫煙の行方を目で追っていた。

 

煙草を吸う仕草が大人っぽく見える、などというのは本当だろうか。
そこにあるのは静謐と思索の時で、1人佇む姿は、確かに孤独を抱えた大人の男といった雰囲気を演出できるのだろう。

僕の手にある煙草は、いつのまにかフィルター近くまで短くなっていた。

酒でも酔えない。

いや、悪く酔って悪夢に苛まれている。
煙草は大した苦痛も快楽ももたらしてはくれなかった。

僕は二本目の煙草に火をつけた。

……煙が目にしみる。

瞼の端から涙が滲み、視界が歪む。

……会いたい。

あの人に今、どうしようもなく会いたい。
背中をさすって欲しい、馬鹿なことをするなと叱って欲しい。
そして微笑んで欲しい。
僕の隣で。

これまでずっとそうだったように。

どうかお願いだから……

拍手[4回]

――変わらないな、ここも。
いや、うんざりするほどあの頃と同じか――

一種独特の威容を誇る母校を改めて振り仰ぐと、さまざまな想いが去来する。
それは輝かしい想い出の煌き、苦悩に満ちた苦渋の日々をも孕んで、私を少々感傷的な気分へと導いてゆく……

――私は星奏学院の理事に就任する事を了承させられ、再び母校へと足を踏み入れた。
経営破綻の手前、あと一歩踏み出せば奈落の底へと突き落とされる直前になり、現校長である私の叔父から泣きつかれたのだ。
財務に疎いと公言して憚らなかった叔父の隙に、実質的に学院を私物化していたのに等しい理事会が、学院の経営資金を投資へと持ち出すという愚挙を犯したのだ。
――素人が、自分は楽をして儲けたいのだと不労収入を得たいという射幸心のみで株やらFXに手を出してはどうなるのか。
それは火を見るよりも明らかだ。

学院の破産を招く寸前になってから、MBAを取得済みの私の存在を思い起こした叔父が頭を下げてきたのだ。
冠婚葬祭の場でもなければろくに話もしない叔父が、突如として私にすり寄ってきたのは腹に一物あるのだと、とうに感付いていた。
最初はいきなり「理事長に就任して欲しい」などと、荒唐無稽な依頼をしてきた。
当然ながら私はそれを言下に一蹴したのだが、さすがに叔父も転んでもただでは起きなかった。
「理事長が無理なら、せめて理事に」
……常套手段だ。

初手には到底受け容れてはもらえないだろう本命の依頼をし、蹴られれば少しハードルを下げて、取り付きやすい案件を再度提示する。
理事長は幾らなんでも困難が伴うだろう、それが無理なのは重々承知している。
ならばただの理事でいい、他にも理事がいるのだから。
その中の一人として、経済のエキスパートとしてのお前の立場から、現況の経営状態についての助言が欲しい――

我が叔父ながら、なかなかにしたたかな交渉術を遣う。
断られるのを承知の上で大本命の依頼を済ませ、次に心理的な負担を下げた案を持ち出す。
ここで私が受諾したと言えば、実質的にいずれ理事長へと格上げさせられるのは目に見えている。

……熟考の末に了承の意を伝えたのは、認めたくはないのだが叔父の情に絆された面が大きい。
私が姉を喪って以来、肉親の情愛に脆くなっていると自覚している。
単純に弱った年長者を労わるだけの問題では済まされない。

これまでに、私がどれだけ音楽に関わる状況を忌避してきたものか。

これを承知してしまえば、人生が大きく変えられてしまう。
もう二度とあの場所には戻るまい、そう決意して学院を去ってから、幾星霜の年月を経ただろうか。

それが、結局は此処に到るまでの単なる回り道に過ぎなかったのだと思うと、運命の悪戯とも言うべき事態に直面し、暗澹たる気持ちになった――

理事の一人としてまず会計監査を行うと、後悔の二文字だけでは済まされない厄介事に巻き込まれたのだと知った。
ほぼ犯罪に等しい業務上横領と、背信との罪状の証拠を握ってしまった。
巨額の金を融資で溶かし、姿をくらませようとした理事らを追って捕捉する事態から始めねばならなかった。
彼らを犯罪行為で告発・起訴するのは容易い。
だが、それには膨大な時間と手間隙を必要とする。
乱脈生活の末に自己破産に到った理事に賠償請求をしたところで、億単位の金はもう二度と戻りはすまい。
私は法律家として学院の暗部を粛清しに来たのではないのだ。
忸怩たる思いを抱えながらも、これまでに培ってきたノウハウと人脈とを活かして、母校の建て直しを図らざるを得なかった――

理事となってからは、毎日のように学院へと足を運び続けた。
あらん限りの手を尽くして財政再建の方法を模索し、帳簿のあらかたの不正や粉飾を押さえた頃になると、既に季節は移り変わっていた。

ふと空を見上げると、高らかに舞い飛ぶ小鳥の姿と鳴き交わす声が降り注いできた。

――ああ、もうあんなに空が高い。
多忙を窮め、甚大なストレスに晒されていた中で、空を見上げるといった些細な事さえ忘れかけていた。
ヒヨドリの声……
学院の傍の墓地に葬られている私の姉、美夜が好きだと言っていた鳴き声だ。

休日の学院の中には、人影さえもない。
いつもは私を悩み苦しませる、数々の音楽の欠片さえない。
私の足は校舎内に入り、通常ならば閉じられている屋上を目指して歩を進めていた。

――この壁も、あの掲げられている絵も、あの頃と同じだ。
高い天井も、重厚な造りの壁面も、意匠を凝らした窓辺も――

脳裏を行き過ぎてゆく数々の想い出。
無数の生徒の織り成すさざめき、笑い声、音楽……
影のように多くの、顔のわからない生徒の姿が浮かんでは泡のように消えてゆく。

胸を鋭く刺し貫くのは、輝かしい希望に満ちた日々の、金色の残像。
グラウンドで眺めた夕暮れの情景、教室の窓から覗いた友達の顔、手に持ち音を奏でたヴァイオリンの感触。

一気にそれらが交錯して、目の奥が熱く痛くなる。

――此処は、巨大な墓標だ。
私の心の一部をもぎ取り、奪い去っていったものどもが眠るモニュメントだ。
息苦しいほど懐かしく愛しい日々だからこそ、今もなお心を苛み続ける想いがある。


何故あの時私は姉の命を取りとめることができなかったのか。
もっともっと話したかった、もっと気にかけていればよかった……
苦い後悔の念が私の胸を黒く塗り潰してゆく。
できるのならば時間を取り戻したい。
謝りたい、赦して欲しい。
ただ一日だけでいい、あの人に会いたいと、血を吐くような想いで何度願ったか――

屋上の扉は、重い軋み音を長く引いて閉まった。
基本的に此処への生徒の立ち入りは許されてはおらず、それは今も変わらない。
……この場所でも、数限りない音を奏でた。

あの人の笑う顔、憂えた表情、ふざけていた私を見守っていた慈母のような眼差しが蘇ってくる――鮮やかに。

歩いている足許近くに目をやると、色褪せた何かの痕跡が見て取れた。
――ああ、あの時の落書きだ。
姉と金澤さんと共に過ごしたあの一年間。
コンクールを控えた金澤さんに導かれて此処へ来て、彼は私に色鮮やかなペンを差し出した。
決意表明を残しておくんだと、彼は悪戯っぽい表情で私に告げた。
彼はいかにも彼らしい言葉を、私は彼に付き合わされたという思いもあったのか渋々と、でも密かに胸を弾ませていたのを覚えている。

姉は、そんな私たちの様子を見ても咎め立てることはせずに、ただあの優美な表情で笑顔を浮かべていた……

記憶は、いつまでも薄れてなどいかない。
今では永久に喪われてしまったからこそ、却ってより鮮やかに、より美しく蘇ってくる……とても鮮明に。
くっきりとした輪郭線を描いて。
この手に掴み取れるかと思えるほどに――

暮れてゆく西日が私の目を射し、瞼の端が痛んだ。
瞳を閉じると浮かんでくる、セピア色の残像。
消えない想い出、消せない胸の痛みを残して永遠に過ぎ去っていった日々。

――貴女は今、もう苦しんではいませんか。

安らかな心地でいてくれていますか。

楽しかった時を思い出して慟哭する私を、貴女は赦してはくれますか?

どうかこのひと時だけは、貴女を想うのを許してください……

――空気を切り裂くように鋭い、ヒヨドリの声。
気がつけば辺りは夕闇の色に染まっている。
鳥たちが塒に帰る頃合で、一斉に群れが羽ばたいて空高く舞ってゆく――

私も帰らなければ。
私は私の場所へ――何処へ?
心はまだ迷い子のように彷徨い、惑っている。

それでも、貴女も此処を消してしまいたくはないはずだ。
だから私のとった行動は正しいのだと、そう信じても構いませんか?
貴女の愛した場所を護り続けるのが私の使命ならば、私はそれに従おう。

消えない想いを抱いて、運命の不思議に導かれて、私は今此処に居る。

それが私に課せられた試練ならば、甘んじて受けよう――

ようやくそう思えるようになったのは、やはり貴女のおかげなのだ。

貴女が生きろと命じるのならば、私は精一杯に命を燃やして生きよう――


(了)

拍手[20回]

先日肉親に急な不幸があり、ショックと心労で体調不良も重なり更新ができなくなりました。


やっと少し落ち着いてきたけれど、未だに悪夢の中を彷徨っているような感覚が抜けません。

以前自分で書いていた文章で、理事長が姉を亡くした直後からのお話があるのですが、今度は全部自分に向かって跳ね返ってくるような、不思議で、かつ心の痛む思いです。


同じように急に父を亡くした知人は、やめていた煙草を一本だけ喫ったそうです。
それは線香をあげるのと同様の意味合いがあったのではないでしょうか。


荼毘に附される直前、本当に、悪夢を見ている私を誰か叩き起こしてくれないかと思いました。


以前アップしていたけれど取り下げていた文章を、自分でも再読する意味でも再度アップしてみます。


拍手[3回]

僕は、本気で告げてくれているらしい金澤先輩の真剣な表情を見返した。
教会の周囲は静まり返っていて、しんとした空気の中を小雨が降りしきっている。

「……先輩の申し出は、ありがたいんですが。僕は受験が終わったら一人暮らしをする予定です。……例え受からなくても、そうするつもりでいるんです」
僕は、ゆっくりと刻み込むように……自分に言い聞かせるようにして口を開いた。


今、金澤先輩に甘えてしまっては、僕は一人で立てない気がする。
ずっと一緒にいてもらっては、彼がいない時が寂しくてたまらなくなるかもしれない。
それなら、お互いに一人でいて、たまに行き来や交流をすればいいんじゃないかと思っていた。
もしも僕がどうしようもない孤独感に襲われてしまったら、その時に……
できれば、彼に助けてもらえたなら……



一人暮らしをした経験もないのに、いくら親しくしている金澤先輩とでもいきなり同居をして、うまくいくとは限らない。
僕はこの関係が壊れてしまうのがとても怖い。
友達として時々会って楽しく過ごしていたけれど、ずっと一緒に過ごすことによって、お互いに嫌な面を見たり不愉快な目に遭ってしまうのが怖いのだ。


……まるで、恋人に嫌われたくないと思っている女の子みたいだ。
だが、僕の今の正直な気持ちだ。



勝手な言い分だろうか。
躊躇を交えながら、でも僕は率直に思うところを彼に語った。
金澤先輩は、うなずきながら黙って僕の意見を聞いていた。


「わかったよ。ま、おまえも当分忙しくなるし……気分変えたけりゃいつでも来てくれよ。なんか困ったことがありゃ、俺に言ってくれればいい。俺は、聞くことくらいしかできないけどな」
「いえ、ただ金澤先輩に聞いてもらえるだけで、それだけでいいんです。……先輩は、僕の言葉を否定しなかった。僕の周りの連中ときたら僕への全否定から始まって、説教に次ぐ説教ですよ。……もう、たまりませんでしたからね……」

先輩は、僕を見て穏やかな微笑を浮かべていた。
「俺、今夜は飲みたい気分なんだよ。おまえも付き合えよ、なっ」
話しながら先輩は大通りへと出て、タクシーを拾った。
僕も一緒に乗り込み、話の流れで彼の家に向かうことになった。




それから二人で痛飲し――最後には金澤先輩は酔い潰れてしまった。
先輩の家で飲んだりするのを繰り返しているうちに、どうやら僕は相当に酒に強いらしいというのがわかってきた。
金澤先輩なら泥酔して潰れてしまうほどの酒量でも、僕はそこまでには至らない。
快い酩酊感覚は味わえるし、気分はよくなって気が大きくなる。
一人で酒の味すらよくわからずに飲んでいた時よりも、ずっと量が進んでしまうのは何故なのだろうかと疑問に思った。



金澤先輩と、くだらない話をしたり真剣に話し込んでいるうちに、どうも僕は酒を煽ってしまう癖があるようだ。
このままではアル中になると呆れたように先輩から言われてしまうが、今は以前ほどアルコールに依存はしていないつもり……だ。
度を超さないようにと自重する意識はあるし、受験勉強の憂さ晴らしに週末にこうして飲む程度だ。


「あんま酒飲んでるともう成長しねえぞ」
「望むところですよ。背も、183あれば充分でしょう」
「いつの間にか俺に追いつきやがったな、おまえ。これからも伸びて190とか2メートルになったらなったで、そりゃ見ものだな」
「そこまでいくと、服とか靴探しとかが大変そうですからね」
「オーダーすりゃいいじゃんか。なっ、お坊ちゃん」

「それはそうですが……あ、オーダーのことですよ」


自分が先輩に揶揄されるお坊ちゃんだというのは、なんとなく自覚はしている。
金銭面や生活面で困った覚えはないし、おそらく僕はとても恵まれた環境にいるのだろう。

大体が、クラシックで身を立てていこうだなんて人間は、ある程度の生活のゆとりがなければ、とてもやっていけはしない。
実家にある程度の資産や財産があり、金に困らない人間が余技として続けていくものだと、僕は思う。
その日の生活にも困るような、明日の食の心配が尽きないような環境で、やり抜けるものではない。

死ぬほど頑張ったからといって報われるような世界でもないし、労苦や努力に対する正当な評価が得られると思うのは大間違いだ。
そんな険しい道に敢えて進む金澤先輩を、微力ながら精一杯応援したいという気持ちはある。
僕の分も頑張って欲しい……などと言うつもりはないが。


――姉が……
もしも姉が生きていて、僕がヴァイオリンを辞めたいと言ったとしたら彼女はどう答えてくれただろうか。
最初はやはり、僕の才能やこれまでの実績を惜しんで引き止めるだろう。
だが、僕の意思が強固なのを感じれば、僕の性格を知っている姉ならば最終的には、僕自身の選択を応援してくれただろうと思う。
……いや、そうだと信じたいのだ。

僕が姉とともに過ごした時を振り返るには、まだまだ多くの時間を必要とするだろう。
苦悩や辛苦から逃れて生きていくのなら、これしかない。
どうか悲しまないで欲しい、わかって欲しい。
僕はあなたを喪った悲しみと正面から対峙し続けていては、いつか正気を失ってしまうだろう。
半身を引きちぎられてしまったような痛みが僕を壊してしまう。
街中でふと姉の奏でていた曲を耳にすると、心が切り裂かれるような苦痛に襲われる。
それほどまでに、僕の心には深い亀裂が生じてしまった……

運命の糸というものが、どこかにあるのだろうか。
それが自分にはどうしようもないものだなどとは、僕は思わない。
僕は今初めて自分の意思で、歩むべき道を選ぼうとしている。

叶うのならば見守っていて欲しい……
あの世と称される場所があるのならば。
できるのなら、天国と呼ばれる場所から。

姉の微笑が目の前を横切り、淡く去って行った気がした。

拍手[18回]

――その日は朝から雨が降っていた。
晩秋の冷たい空気を更に凍てつかせるような……土砂降りではないが気にならない程度の霧雨という訳でもない。
涙雨、ってやつか……
俺は胸の中で独りごちた。

黒い傘を差した喪服の集団は、星奏学院にほど近い教会の墓地で、美夜の墓を取り囲むようにして佇んでいた。
所謂三十日祭というやつで、仏教式で例えるなら四十九日に該当する追悼の儀式らしい。
カトリックだとかプロテスタントの区別さえ怪しい俺だが、美夜が死んでしまった悲しみは当然あるが、今は遺された吉羅の心理状態への懸念が大きくなっていた。

白い百合の花が美夜の墓に手向けられていくのを見て、墓標にかがみ込んで合掌した。

喪服に身を包んだ吉羅の顔はやや蒼ざめたように見えたが、少ししてそれは漆黒のスーツがあいつの顔に陰翳を作り出しているんだとわかった。
最近までろくに飲食物を摂っていなかったはずだが、少しは食うことを覚えたらしい。
それはこの前、あいつがひどく酔っ払った夜にわかっていた。
俺にできるのは、ただあいつの言葉を聞き、飲み込むことだけだった。

いつでも家を出て行けるように……と半分冗談だろうが、残り半分はおそらく本気で、あいつは荷物の整理をしていたんだろう。
CDやDVDだらけだった部屋の中でも、クラシックの音源や映像は殆ど片付けられちまっていたし、楽器はおろか楽譜や教本の類ですらも、一切があいつの部屋から消えてしまった。
それらを収納していた棚やラックも無くなっていて、代わりにダンボールが積まれ、やけに広く感じた室内が寒々しくも思えた。

残ったのはモノクロームの色合いで統一された机や椅子、本棚とベッドくらいなものだ。

以前壁に貼りだされていた指揮者や奏者のポスターも剥がされちまっていて、アイボリーホワイトに見えた壁には、ポスターの痕が四角く切り取られたように、ぽっかりと青白さを浮かび上がらせていた。

神父が説話をしながら遺族と茶話会を行うという式次に従い、教会の一室に誘導されていく。
吉羅は喪主の父親の傍に居て、美夜の最も近い肉親なので上座に位置していて、親戚に取り巻かれた形になっていた。
法事などの精進落としの形式よりは簡略な軽食が出て、口々にあれこれと話をしている吉羅の親族を見るともなしに俺は眺めていた。
俺はもう二十歳なので飲酒を勧められたが、さすがにこんな席で飲むような気分でもない。


吉羅の方は、ソフトドリンクを無表情に流し込んでいる。
あいつこそこんな場ではなく気楽な場所で飲みたいだろうにと、俺は吉羅に同情した。


「――時に、暁彦。音楽科から普通科への転科だが、受理されたよ」
吉羅の叔父の校長からそんな言葉が聞かされて、俺ははっとして顔を上げた。
「そうですか。ありがとうございます」
なんの感情も覗かせないような、一本調子の素っ気ない文言が吉羅の口から出た。
台本の科白を棒読みしているように思える。

「……念のために訊いておくが。気持ちは変わらないんだな?」
校長が吉羅に阿るようなねっとりした口調で、あいつの顔を覗き込むようにして尋ねた。

吉羅の眉根が寄せられて、途端に険しい顔つきになった。
「何度訊かれても答えは同じです。――気分が悪いので、僕はこれで失礼します」
眉間に深い縦皺を刻んだまま、吉羅は茶話会の会場から飛び出した。
誰も咎め立てもしないが、呼び止めもしない。
あいつが周囲からも腫れものを扱うようにされているのが一目でわかった。

――まるで、大怪我をした肉食獣がその場にいるようだった。
誰も近づくな、話しかけるなと体中で訴えかけている。
他人の好奇の視線や接触を一切遮断したがる、取り付く島のない頑なな態度だ。
全身に漲らせているそれは、およそ余人を寄せ付けない電流のような障壁に思えた。

群れからはぐれ、傷を負い、傷口から血を流している若い一頭の狼――
俺の眼には、あいつはそう見えた。
深手を負った傷口は塞がらず、ちょっとしたきっかけでそこから血が滴り落ちていくような事態を招くんだろう。
校長に吉羅を傷つける意図はないにせよ、今のあいつは神経線維が剥き出しになっているような危うさが見て取れた。

「よう、吉羅。中抜けか?」
「……金澤先輩……」
俺が傘を差しかけると、さっきまで刺々しかった吉羅の表情が一気に緩んだ。
外は霧雨が降り続けていて、吐く息が白くなるほど冷えていた。
「いいのか?親族ご一同を放っといてよ」
「いいんですよ。……なんの集まりだったのかの趣旨も忘れて、まるで何かの宴会みたいに場が崩れてくる。神式だろうが仏教の法事だろうが、僕は、こういうのは嫌いです」

きっぱりと――だが、吐き捨てるように吉羅は言い切った。
それは少年ならではの潔癖さを以って、大人どもの小狡さなどを寄せ付けないほどの清冽な気配を感じさせた。

「うるせえオヤジどもの、酒臭いお喋りや、煙草の煙でこっちがどうにかなっちまうわなあ。俺も好きじゃねえよ、こんなのは」
俺の言葉に、吉羅は黙って頷いていた。
「あー、ヤニくせえ。なんつーの、独特の匂いがつくよな、タバコってよ」
俺は自分の喪服の袖口に染み付いた匂いに顔をしかめた。
「……ですね。僕も、興味本位で試してみたんですが、体質に合わないようで全然受け付けませんでしたよ」


俺は意外な言葉を耳にした驚きで、絶句して吉羅の整った顔を見た。
このお坊ちゃん顔で、タバコねえ……
そりゃ似合わないことこの上ない。

「――おまえが?タバコ?」
ついつい失笑を抑えきれずに、曖昧な半笑いの表情を作ってしまった。
「おかしいですか?」
「そりゃ……まあなあ」
きょとんとして俺を見返す吉羅の顔に、ますます笑えてしまう。
「そんなに笑うことないでしょう……」
言いながら、吉羅はどこか憮然として納得しきれていないような表情をしていた。

「無理すんなって、こないだも言ったろ?」
俺は吉羅の肩を叩いた。
「別に無理したわけじゃなく、ただの好奇心ですよ。もっとも、数本吸ってみて何も面白くもなかったんで、やめました」
「おいおい。面白くなっちまうタバコだったら、やばいだろうが」

言いながら、俺ははたと思い出した。
こないだ、こいつは駅前でおかしなチンピラみたいなのに絡まれてたんだっけ。
薬物の密売人に取引相手だと間違われたって言ってたよな。

……もしかして……
それは、間違いなどではなくて……


いやな想像をしかけてしまうと、背筋に冷たい汗が伝い落ちていった。
血の気が足元から音を立てて引いていくような不快感がある。
「……なあ、吉羅。おまえ、あそこ出てくんなら、マジで俺の下宿に来ねえ?」
咄嗟に閃いたまま口に出した俺の言葉に吉羅は眼を見開き、黙って俺の顔をじっと見ていた。

拍手[14回]

プロフィール
HN:
yukapi
性別:
女性
趣味:
読書。絵を描くこと、文章を書くこと。
自己紹介:





なんだかいろいろと絵や漫画を執筆中。…吉羅理事長勝手ノベライズ+捏造小説他公開中.理事長ゆず風呂漫画3完成して一応完結しましたw





100万人の~をベースに現在の時系列で勝手ノベライズ&完全空想エロありエピソードを書いています。時に微エロ・ハードエロありですのでご注意を!







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