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Since2013.10~「100万人の金色のコルダ」をベースに、吉羅暁彦理事長と日野香穂子の小説を連載していました。現在単発で吉羅理事長楽章ノベライズや勝手に楽譜イベ内容を補完した妄想小説を掲載中。R18小説・HコミックをDLSITEでダウンロード販売中。イラストや漫画も無料掲載中♪一部パスワードあり
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――これは現実のことなのか、未だに判然としない。
出口のない悪夢の中を彷徨い続け、迷い込んで歩き続けている……
そんな錯覚が僕の五感を鈍らせていた。

もう、この世界のどこにもあの人はいない……
辛すぎる現実を現実として捉えたくはなくて、眠りの中へと逃避する。
今度は終わりのない悪夢が、毎日、毎晩僕を責め苛みにくる――

姉が実は生きていた、そんな夢を幾度となく繰り返し見続けていた。
それには、よくもまあこんなにも……と言いたくなるほどのバリエーションが付き物だった。
姉は病気にもかかっていなくて、留学先で元気にしていて、今はまだ帰って来ていないというものだったり。
生き返ってきても、それはこの一日だけなのだと悲しげに言われて、僕はその姉の手に取りすがって泣いたり。

――その時には、生まれて初めて夢で涙を流しながら起きるという経験をしてしまった。

実は生きていた、実は元気でいた――というのは僕の中の切実なる願望だ。
それが夢という形をとって現れると、夢の中では本当にこれが現実なのだと思い込んでいるのだから、始末が悪い。
僕の望みが目の前で具現化しているというのを、夢の僕は本心から信じ込んでしまっている。

眼を覚ますと、いつもいつも決まって自分に言い聞かせる。
姉はもういない、姉はもう死んでしまったのだ――と。
一週間経とうが、半月経とうが、……そして一ヶ月経とうが、僕の感覚は現実離れした浮遊感を伴っていて、全てにおいての気力が湧かない。
積極的にではないが、体調が悪いと言っての登校拒否を行い続けた。
三年生の半ばを過ぎて、大学への進学を考えなければならない時期だ。
だが、到底そんな気になどなれやしない。

姉を最終的に追い詰め、その命を擲たせたのは音楽だ。
以前まではソリストになりたいと希望を持ち続け、必死の思いで修練を積み重ねてきた。
――が、姉を殺した音楽になど、僕は身命を賭す謂れなどない。
日増しに音楽を、そして僕ら姉弟を音楽の道へと誘導してきた音楽の妖精・ファータどもへの憎しみが募ってくる。
これは姉自身が選んだ道だ、ファータの強制などでもなんでもないのだ。
理屈ではそうわかっている、アルジェントをはじめとする連中を憎むのは筋違いなのだと、理性の中では警告を発している。

ただ――もう、自分の目の前には現れてくれるな。
そうアルジェントに告げた時、知らずに涙がこぼれ落ちた。
姉の葬儀から一週間が経った頃だろうか、僕の涙を初めて見たアルジェントは悲しそうな目をして、何も告げずに虚空に消えた。

最初は、理不尽な運命への怒りが大きかった。
なぜ姉が若くして死ななければならなかったのかと、血飛沫くような憤りが僕の中で膨らんでいった。
体調が悪かったのにそれを我慢しぬいて隠し通していた姉にも、姉の体調不良を早くに察知してはくれなかった周囲の人間にも怒りを覚えた。
それも一種の八つ当たりでしかない、わかっている。
最終的には姉自身が、まるで自死を選ぶかのように音楽に殉じて逝ってしまったのだ……

何故、僕は姉の留学先へと赴かなかったのだろう。
何故、もっと頻繁に電話をしてやらなかったのだろう。
一回顔を見に行くよと言ったその時に、どうして実行に移さなかったのか。
――何故、どうして……
僕が早くに気付いてやりさえすれば、姉はまだそこに居て僕に微笑みかけてくれていたのかもしれない。
姉を救えなかった自分へと、繰り返しの後悔の念が訪れてくる。

最終的には自分自身への不甲斐ない思いが、一どきにどっと押し寄せてくる。

――もっと、姉に優しく接してやっていればよかった。
僕を思っての助言や諫言を、僕はまともには取り合わなかったり、話半分に受け流してしまったり、そんなことばかりをしていた。
そんな時、いつも決まって姉は仕方なさそうに弱々しく微笑を浮かべていた……

最後の最後に、姉と話したシーンがリフレインする。
空港で姉を見送り「体に気をつけて。頑張って」
そんなありきたりの、当たり前の言葉しかかけられなかった。
「体の調子がおかしくなったら、すぐ医者に行くとか、日本に帰ってきて。一人では抱え込まないで」
――今ならば、姉に僕はそう言ってやりたかった。
搭乗予定の飛行機へと向かう後姿、それがいつまでも僕の脳裏に焼きついている。

自分を責め続け、その度に僕は涙を流した。

涙というものは、どうやら涸れ果ててしまうことなどないらしい。
辛い現実を忘れたくてアルコールに手を出してみると、余計に悲しい思いをするだけだったりした。
酔えば思考回路が変わるだろうと思えば、ひどく落ち込む結果に終わって後には頭痛、悪心、自己嫌悪の嵐だ。
だが、肉体的な苦痛で精神的な煩悶を押さえ込めている、それだけは現実の出来事だった。
だから、うまくもないアルコールを貪るように飲み続け、酩酊の中で極彩色の夢を見る――
何が現実で何が妄想なのかの境目さえがあやふやに溶け崩れていて、僕のこれまでの日常生活は完全に瓦解していった。

自分が音楽科の生徒であるという現実を、これほど呪わしく思う日が来るとは、姉が元気だった頃は想像もしていなかった。
一ヶ月近く学校に登校しない僕を心配して、担任や副担任、受け持ちの講師などが電話をかけてきたり、時には大挙して家まで来訪してきた。

僕はもう音楽の勉強をする気は失せてしまった、今は何よりも日々を暮らして、無為に時を過ごしているのさえ辛い。
そう言って追い返すのだが、講師も教師達も、僕の実績や才能を惜しむ言葉を重ねて、僕を説得しようとする。

――頼むから、もう放っておいてくれ。
そう言い放ってドアを乱暴に閉める。
静寂のただ中、僕は睡眠とアルコールに逃避する日々を過ごしていた。

食欲は殆どないに等しく、空腹感もおぼろげにしか感じられない。
興味本位で煙草に手を出してみたが、咳き込むばかりでうまくなんかない。
外に出る気力さえないのだが、これが街中なら、簡単に所謂“草”や薬物に手を出していただろう。

そこまで堕ちたくはないという最後の矜持だけが、かろうじて僕に残されていた。

拍手[16回]

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なんか暫くぶりに自ブログ見てます…ログインパスワード請求されるほど、一週間くらい見てなかった…

今もなおのぶニャがに夢中です…というのも、我が愛しの「きニャ暁彦」様の育成に夢中なのですw
理事長様への愛は微塵も変わっておりませぬ!!
更にニャがコラボで本家本元「100万人の信長の野望」にまで手出しする始末です…
その昔弟がハマってて「何が面白いんだよ」とか思ってましたが面白いんですよこれが!!

ついつい「影武者徳川家康」や「SAKON」池上遼一様作画の「信長」、そして横山光輝作の信玄・秀吉・信長・勝頼・正宗・家康まで全部引っ張り出して再読している最中ですorz
中高生の頃これにハマってたら歴史の成績もっと上がってたはずw

毎日戦国時代のお話ばかりが頭を巡り、歴史マンガのお陰でニャがに出てくる「ねこ武将説破」クイズ3つのお題、何も見ずパーフェクトに回答することもできるようにw

きニャさまこと吉羅暁彦様。
猫の姿ですが、彼の得意技「交響曲」かなり使えます。
遠距離から多人数目掛けて400~500ものダメージを負わせることができます。

「必殺」身につけてた頃には一撃で相手を殺せましたが、今は「智勇兼備」移植させたのです。
あと早合レベル3を、佐々さん6枚くらいで「早合4」にアップさせましたw
(移動速度や術の発動速度が速くなる。つまり吉羅様のターンがバシバシ続くことが増える)
まだまだ佐々さん、ニャーゴロさん、他早合素材げとしてあるので早合5にさせるか。

始めて1ヵ月、初心者しかも微課金の我が隊の不動のエースですw
そんで金やんの「ねこやなぎ3」かなり発動するのでなかなか面白いかも。金やんも早く覚醒させたい。佐々木スコじろうもかっこいいので覚醒させたい。猫足レベル5にさせたら相手の攻撃かわしまくりで凄いですw

……そんなこんなで、すっかりニャがの合間にコルダをやってる感じになってしまいました…が。


前回の理事長…「誰これ?」って感じの仕上がりでしたが…
ハロウィンナイトのイベ、シナリオのノベライズではなくて、吉羅様の視点の独白にさせようかと思案中です。

まだこのブログを見てくださってる方、書いて欲しいよという励ましの意味での拍手をお願いします♪

拍手[4回]

(のぶニャがコラボ!きニャ暁彦様を買った私が、きニャ様を使った戦闘を、吉羅暁彦理事長からの視点で回想します。なるべくのぶニャがを知らない方にもわかりやすく書いたつもりです♪)



……今回も、総大将は私に決まった。
まあ私の職業は軍師であることだし、知略を駆使した戦法や兵法はお手の物だ。
今度の戦場は比叡山の裾野にある。
一見開けた土地に見えるが、どっこい岩の壁があちこちに屹立して狭い一本道が三本あるのだ。
そこへ侵入して行けば敵陣からの一斉攻撃を受ける、その覚悟で臨まなければならない過酷な戦地だ。

相手軍を率いる総大将は織田のぶたニャー(信忠)だ。
かの第六天魔王・信長の嫡子である彼は、父親そっくりの酷薄な目つきが非常に印象的だ……勿論悪い意味で。

私の陣は、鉄砲隊を率いる狙撃力が高い侍大将がシャムづ(島津)家久。
彼は火属性レベル11、攻撃力94、勲功値225の歴戦の勇者だ。
伏兵看破・陣中見舞い(周囲の人間の体力が回復する)、完璧主義者という高スキルを身に着けた軍師・月森君はレベル14、勲功値134の足軽大将。
騎馬武者レベル14の王崎シンぶ君の本業は僧侶であり、どうも敵に塩を送るのが趣味らしい。(信武でしのぶとは読ませないらしい)
何故か職業が「茶人」の組頭、レベル14かニャざわ紘人。
彼は多々のスキルを身に着けているにも関わらず、猫特有の気まぐれさでそのスキルを発揮させる機会は少ない。

そんな、頼りにしたいのだがあまり頼りにならない?味方に、攻撃力を重視した凸状の陣を組ませ、いざ開戦。

それらを率いての戦闘についての辛苦を回想してみることにした――
……非常に苦痛を伴う作業ではあるが、後の試しにもなるだろう。
のぶニャが世界に紛れ込んでしまった私の苦渋の一端でも、私のファンである女性陣に知ってもらえるのならありがたい。
無論、男性陣も是非ご一読のほどを。


――まずは王崎君の騎射からだ。
馬に乗った上での射撃はタイミングが非常に大事だが、その点は心配ない。

彼の力量は攻撃力142、防御64、速度89等、総合レベル30にまで上げてあるのだ。
もっとも、攻撃力212、防御力108、速度118等で総合レベルが50に到達した私には比肩しえない。

私は既に「覚醒」している――
つまり、初期段階での修練の限界を突破して、中期に入ろうとしていた私は覚醒段階一段目で攻撃力50アップを選んだのだ。
その私の異常なほど高くなっている戦闘力には遠く及ばないが。
次に目指すべく第二段階では兵力を増やそうかと思案中である。

王崎君の馬上からの銃撃は、雑兵に399のダメージ。
もう片方の雑兵からの攻撃を難なくかわした。
私が横から彼の援護に出てきて、射撃で651のダメージを与える。
金澤さんの得意技「ねこやなぎLV3」で相手は挑発されて、頭に血が昇った。

王崎君の馬が敵を蹴り上げて350のダメージだ。
私は相手騎馬の突進を躱しつつ体勢を反転させて銃を撃ち、「交響曲」
――必殺技に該当するのだろうそれで、相手の一将に1200もの瀕死の重傷を負わせた。
「ニャー」と悲しげな声をあげて敵陣の外に逃亡した将は、死亡確定だ。
無様な敗走をする際に可愛らしい鳴き声をあげて、汗の粒を散らしている様はいつ見聞きしても笑える。

王崎君は、「岐阜中将」などという謎の技を食らってしまった。
なんだこれは、初めて見るものだ。
そういえばのぶたニャーの官位がそれだったか……確か、権の中将に任ぜられたばかりなのだったな。
己の官位を声高に吹聴するという馬鹿げた技に苦笑したくなる。
それは常識人の王崎君もさぞ面食らったことだろう、かわいそうに。

別な側面からも突かれて、王崎君は合計430ものダメージを受けた。

更にのぶたニャー(信忠)と敵武将の二匹は五輪奥義、「篭絡の計」を繰り出した……
なんたる不覚か……!
金澤さんの頭上には、ピンク色に輝く愛らしいハートマークが灯ってしまった。


……男が、いかつい男に篭絡されて一時でも心を奪われてしまうとは。
それも、相手は第六天魔王信長の嫡子であるのぶたニャーだ。
あろうことか、あの冷血の輩に心惹かれるなどとは……
世間的には冷徹と評されて、「第六天魔王のぶニャがを演じるには最適」とお墨付きを得ている私と行動を共にしている時点でお察しなのか?
私の同僚でもあり先輩でもある金澤さんが、こんなくだらん策に陥るとは……!

戦端が開かれてすぐに波状攻撃を受ける味方陣の、目を覆いたくなる惨状だが、総大将である私が動揺している姿を晒してはいけない。
ここは意地でも平然としていなくては。
私は憤怒の気持ちで交響曲を唱えると、1244と446、321という大ダメージの一撃を一挙三人に浴びせた。
これほどの凄まじい攻撃を見た者はあるまい。
私は初期段階にはありうべからざるレベルの、異常とも言える火力を誇っているのだ。

隘路に追い込まれて集中攻撃を受けている王崎君に目配せすると、彼が頷く。
私と王崎君により「医心方」の詠唱を行った。
これで彼の傷がかなり回復し、1000ポイント中800近い体力を取り戻せた。
しかし、その矢先に王崎君は150、200と連続して打撃を受けた。
折角、無傷であった私が苦労して王崎君の為に繰り出した回復技なのに。

相手は「土竜攻め」を仕掛けてきた。
これは「一定の確率で、敵複数の防御力を下げる」ものだ。
金澤さんがそれを食らうが、未だ正気に返っていない彼は頭上にピンクのハートを浮かせたまま、なんと味方である王崎君を銃で撃った。

僅か25のダメージだが、情けないにも程がある。
男に誘惑された挙句に同士討ちをやらかしてくれるとは。
ああ、所詮は茶人などという風流者を装った無頼漢など連れてくるのではなかった……

今頃島津、いやシャムづの「狙撃LV1」が出て、相手に120のダメージを与えた。
そして今までほぼ存在を感じることのなかった月森君が、4ターン目にしてやっと銃を撃った。
遅い、遅すぎる。
遅きに失する。
大体が、「陣中見舞」だのという凄まじい回復技を持っているくせに全く回復役を果たさず、焼け石に水程度の40の極小ダメージを負わせただけかね?
戦場に於いてもマイペース過ぎて協調性が微塵も感じられないのは一体どういう訳なのかね、月森君?

と思ったら、月森君と王崎君コンビによる「赤備え」が出た。
これは敵一体を攻撃し、命中すると自分自身の攻撃力も上がる代物だ。
王崎君に発動したそれは、見事に敵に250のダメージを与えたがその後敵から150、100と連続した攻撃を受けてしまった。
騎馬で敵陣深くに突入している彼が、どうしても集中砲火を浴びてしまう地形に潜り込んでいるのだ。

金澤さんは3のダメージを食らってひっくり返っていたが、未だ彼の頭上にはピンクハートが輝いている……
ええい、目障りな。
私が敵を撃ち、651のダメージ。
なんなのだこの数字は、連続しているな。
その後、島津・月森・王崎による三連続攻撃。
忘れていたが金澤さんもハートを浮かべたまま敵を撃ち25のダメージを与えていた。
王崎君が相手に125、すると相手から250返される。

いけない、王崎君の命は風前の灯だ。
こんな窮地なのに行動力の遅い月森君が「陣中見舞」すら出せずに金澤さんの背後にくっついているのが腹立たしい。
回復役を果たさない彼のせいで、私がわざわざ攻撃ターンを犠牲にしてまで異様に強力な火力を出さず、敢えて回復技を担う羽目になったのに。

そして敵軍の残党が残り2名、総大将のぶたニャーと副将(名前失念、太った茶虎猫、青の着物)のみになったその時。
私の交響曲の出番だ。
今までのストレスを発散するかのように私が攻勢に出る。
愛銃が勢いよく火を噴くと、総大将のぶたニャーに1225の致命傷、更に894で副将を撃滅した。

――かくして、織田のぶたニャーを総大将とする敵軍は私の銃により全滅した。


……敵軍全員を殺し尽くし、殲滅することに成功した。
もはや生き残りは一人もいない。
総大将である私自らが、敵軍の総大将と副将の首級を挙げてみせたのだ。

今回の手柄は私が独占状態だ。


……孤軍奮闘といったところだろうか。
ま、私の獅子奮迅の活躍で敵を全員撃破したのだと言っても過言ではあるまい。
他の味方は正直飾……ゲフンゲフン
いやむしろ私の足をひっぱ……


こうして改めて書き記していると、つくづくそう思う。
私こそが「第六天魔王」のぶニャが役がハマっていると、のぶニャが指南役の「ミャーもと武蔵」に言われたが……

是非も無し。
なりきるのなら開き直ってなりきらないと見苦しい。


のぶニャがコラボのチュートリアルをクリアして、苦戦しつつこの「短編ねこ戦記」で千点取り、なんとか月森君の楽譜を入手しはしたが。
私の戦いはまだまだこれからも続く。

二巡目は、どんどん敵が強くなっていく最中なのだ。

比叡の戦いを終えた私は休む間もないはずなのだが、手傷を負った王崎君や金澤さんを、傷によく効く温泉に入れてやらねばならない。
戦地をのそのそと移動しているのが殆どだった月森君、遠隔地からの狙撃重視なしミャづは、ほぼ無傷でしれっとしているのが小憎らしい。

コルダのグループだからと相性がいいと、我々の編成にニッコリマークが浮かぶのだが、とんでもない。
私が攻撃力重視の火属性、かつ得物は銃なのだが、行動力の素早さも重視する風属性も高いので、同じく俊敏に移動できて攻撃力の高い人材が欲しいところだ。

そろそろ、私は修練レベルを上げるために「器量を磨く」ことをせねばならない。
今の所私はこの軍では最強なのだが、もはや修練レベルが高すぎて50で高止まりをしている足踏み状態なのが我慢ならない。
そこで、コルダでのBPならぬニャオポイント=NPで無料で入手した「高坂ミャさのぶ」を、密かに私のパートナーとして選ぼうとしている。

彼は無料の「ニャオみくじ」でなんと三枚も出てしまったので、そのうち一枚を鍛えに鍛え、彼の身を犠牲にして、持てる戦闘能力を全て私に捧げさせるのだ。

……ん?
なんだね、日野君?
その咎めるような眼はなんなのだね?
それが第六天魔王さながらだと言いたいのかね、君は?
戦国時代、食うか食われるか。
昨日の味方は今日の敵。
現代社会の甘い常識など通用はしないのだよ。

幸いにして彼は火属性、私もそうなので最初から相性は良い。
彼の勲功値もレベルも最大値に引き上げて、鍛錬を重ねたその身を、忠誠を私に捧げてもらう時がいずれやって来る。

その後、彼はどうなるのかって?
なんとなく想像はついているだろう?

無論、彼は消え失せるのだよ。
私の中に彼の能力を宿らせれば、高坂ミャさのぶという本体は消滅する。
惨いのは、例え私の修練レベルを上げられず失敗に終わっても彼本体は消えてしまうということかな。

仕方が無い、これが「のぶニャが」の世界なのだからね。
戦国武将が可愛らしい猫の姿に身をやつしているという外見に似合わず、その世界観はシビアなものだね。
強い者は、より一層の強者を役立たせるためにその身を捧げて尽くす。
戦国の世の理(ことわり)そのままではないかね?

君と論戦したり、ぐずぐずしている暇はないよ。
私はまだやることがあるのだ、今日はひとまずこれで失礼するよ。

ああ……三巡目では、第一章「星奏学院にて」の初回の敵にやられてしまった。
☆5つの強敵の集合体で、相手は「かニャざわ紘人」が率いる精鋭部隊だ。
なんと彼らは四人の将がそれぞれ1450もの手勢を引き連れているではないか。
総大将のかニャざわ紘人自ら1450もの兵を従えているのだから、敗北も致し方ない。
私の第二段階での覚醒では、今は1000しか持てない手勢を増やすことにせねばなるまいな。

私の銃は一度に数名の敵にダメージを与えられるが、私の愛銃ウィンチェスターM70の火力はやはり異様なほど強いのだろう。
とある殺戮小説のタイトルにもそのまま使われている、世界的にも有名なこの銃が私はたまらなく好きだ。

そのうちここの作者がこのスナイパーライフルを構えた私のシリアスな絵を描くだろうから、今少しの間待っていてくれたまえ。
何せ女のくせに……といっては失礼だが、軽度ミリオタに加えて自分までがライフル撃ちに目覚めた狂気のイラストレーター兼漫画家、時に劇画家(自称)なのだから。

この「短編ねこ戦記」では、周回数が増えるごとに段々と敵の強さが増してくるのはやり込み甲斐を持たせるためなのだろうな。

傷が癒えるまで暫し温泉で休憩をとらなくては……

……妻である濃姫に体をほぐしてもらえれば、一層回復が早まる見込みなのだがね?

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……お久しぶりです、どんどんきつくなる生理痛や随伴症状に悩みながらの誕生日を迎えました(´・ω・`)
もう生理要らんわ (´;ω;`)

コラボ目当てで始めたのぶニャがの野望にドハマりしてしまい、目が痛くなって眼精疲労が起こるまでやり込み続けましたorz

そしてモバのメイン垢では当然買いましたよ…きニャ暁彦様を!!!
だって買わずにいられましょうか!カッコカワイイ!!
でもって異様に強い!
理事長様ののぶニャが、ハマりすぎ…(*´д`*)

ということで体調不良を抱えつつゲームにハマっていたので全然更新できませんでした (´;ω;`)
前回イベの内容で混乱をきたしててまだ気持ちの整理がついてないし。

理事長おおおおおおかっこいいいいいいはああああああああ(*´д`*)(*´д`*)(*´д`*)

そして今年も私はストーカーのごとく、吉羅理事長様と香穂子たんの愛を見守ることにします♪

かほたあああああああんかわいいいいいいああああああああ(*´д`*)(*´д`*)(*´д`*)

のぶニャガのことなど、日記ブログにちょっとずつ書いていくつもりではあります♪
朝晩寒さを感じる陽気になってきましたが、皆様ご自愛くださいませ。

13夜の月が美しい誕生日でした。
明日は両親にお礼言いにお菓子持って遊びに行きます♪
誕生日というものは、育ててくれた親や家族への感謝をする日なのだと気付きました

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ここんとこ体調崩しがちでしたが、昔書いて今は非公開にしたものを公開にし直しました♪
理事長がピアノを弾く「月の光」と、「もしも理事長がギタリストだったら」1もしも理事長がギタリストだったら2を公開中♪

最初期に書いた100コル理事長の楽章勝手ノベライズ、あまりに脚色が凄いので少々抑えたらまたあとで公開します<(_ _)>   

それよりもそれよりも!
100コルで理事長様が、衛藤君楽譜でヴァイオリンを構えている……( ゚д゚)

これって公式かい!私が描いたお話でも、過去にピアノ演奏とエレキギター演奏をさせたと思ったら、去年公式で理事長がスパニッシュギター弾くし!

恐れ多くて大人理事長がヴァイオリン弾くところは絵にも描けずにいましたが…

それから今回の頭髪ガチャw理事長オールバックktkr

おまけにプロローグで「執事」……
これは執事の理事長様がオールバックでいるとこを描けという天啓?でしょうかwww
ああだめだ、どんどんイメージが湧いて出てきて止まりませんwww
さて、とても健全な絵を描いてみたいと思います♪

こちらは今年四月に、禁忌と知りつつ描いた高一暁彦君がヴァイオリン弾いているところです。
物凄い苦労して何時間もかけたのに、今見ると手を入れたくなる…

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妄想のままに描いたのですが、ジャケット着てなくてもいいじゃん!メガネ吉羅様いいじゃん!


 
というのを詰め込み目下自分でも興味ある相対性理論wいや、普通高校物理じゃよほどの高校以外やらないようです…
その2もあります♪

拍手[2回]

――放課後、言いつけられた通りに香穂子は理事長室へと出向いた。
吉羅に勉強とヴァイオリンの両方を見てもらうことになっている。
「よく来たね。待っていたよ」
机に寄った香穂子に対し、吉羅が楽譜の束を差し出した。

「さて、ヴァイオリンの練習だがこの楽譜を練習したまえ。この曲を弾きこなすことができれば、音楽科の生徒にも君の力量を納得してもらえるだろう」

「はい、わかりました」
「では、早速ここで弾いてもらえるかな?」
「あ、はあ。今ですか?」

「私は仕事があるので、手元の書類を処理しながら聴くことになるが、演奏にはしっかりと耳を傾けさせてもらうよ」
そう言われて机を見ると、書類が山積みになっている。
香穂子は仕事が忙しそうな吉羅に尋ねた。
「あの、私。もしかして仕事のお邪魔になっていませんか?」
勉強と練習を見てもらうことで、忙しい彼の負担になってはいないだろうか?


そんな想いが香穂子の口から出た。
「日野君、君が気にすることではない。君を一人前のヴァイオリニストに育てるのも私の仕事だ。加えて、星奏学院の理事長として、君の成績を落として落第させるような事態を防ぐのも仕事のうちだ」
「はあ……」
「とにかく、私のことは気にしなくて結構。それよりも、目前のなすべき演奏と学業に集中するのが先決だ。君のスケジュールは組んでおいたから、それに従ってくれたまえ」
「はい、頑張ります」
「さあ、無駄話をしている時間はない。練習を始めよう。因みに明日からは試験勉強も追加するから、そのつもりでいるように。授業中、わからなかった箇所をレポートにまとめて提出したまえ」
「はい、わかりました」

吉羅の言葉にうなずいて、ヴァイオリンの演奏を始めた――



翌日、いつものように授業を受ける。
授業中にわからなかった箇所をレポートにしろと言っていた吉羅の言葉に従って、理解できなかった箇所とわかった箇所を分別する。

理解できなかった部分は、どこが理解できなかったのかと詳しく分析して文章にまとめた。

そして放課後、香穂子は昨日と同じく吉羅の元を訪れた。
「今日の授業で、わからなかった箇所はレポートにしたかな?」
「はい。理事長のお言いつけ通りに、書いてきました」
レポート用紙をまとめたものを彼に差し出した。
「――よろしい。では、私がこれに目を通している間に、君はヴァイオリンの練習をしたまえ」
指示の通りに練習を始めた。

「――そこは、もう少し丁寧に。指使いが追いつかないならテンポを下げればいい。運指は訓練だ、繰り返せば必ずできるようになる」
吉羅のアドバイスに従って、テンポを下げて丁寧に指で音を追う。

「――よろしい。ヴァイオリンの練習は、ひとまずこの辺りで区切りをつけよう」
「はい」
香穂子がヴァイオリンをケースにしまうと、吉羅から次の指示が出た。
「それでは、次はテストの勉強だ。参考書とノートを出したまえ」

香穂子は一番困っている数2の参考書とノートを開いた。
吉羅は、以前理数系が得意だと聞いたことがある。


「まず数学だが。この公式に引っかかっているようだね」
吉羅の指が香穂子のテキストを示した。
「そうなんです。ここから先に進めなくて、困ってて――」
「私がこの公式を証明してみせよう。そうすれば使い方の理解が進むだろう」

吉羅は、香穂子が解けずにいた部分をひとつひとつ丁寧に教えてくれる。
お陰で、何がどうできなかったのか、何故それができるようになるのかまで教えてもらい、どんどん解けていった。
理数系への苦手意識が強い香穂子にとって、吉羅は力強い味方だった。


「……理事長のお陰で、今までわからなくて困っていたところが今日はかなり進みました。ありがとうございます」
香穂子が軽く頭を下げると、吉羅は苦笑していた。
「礼には及ばないよ。そうだな、これに対する報いは、この出題範囲のテストならまず80~90点は取ってもらわないとな」
「そ、そんなには、無理……」
「まあ、一日で詰め込むだけでは無理だね。反復をして、徹底的に覚えこむことだ。それは数学の公式だろうが、ヴァイオリンの弾き方だろうが変わらないよ」

「はい、それはそうですね。……それにしても、理事長は、とても教え方が上手ですね。教師としてもやっていけそうな……」
「それは一日の長があるからね」
「い、いちじつのちょう?って、なんですか?」
香穂子は吉羅の口から出た難解な表現に驚いた。
「まあ、噛み砕いて言えば、年の功というところかな。私は君の先輩に当たるわけでもあるしね。……なに、大した話ではない。学生時代、よく金澤さんの試験勉強を手伝ったんだ」
「え?金澤先生のをですか?……だって、確か理事長より金澤先生のが学年が上ですよね?」

「そう、彼が二学年上になるね。私がここの一年生の時、彼は三年生だった。学年が違うのに、あの人はよく私を頼ってきてね。教え方がわかりやすいと、毎度つきあう羽目になった」
「そうだったんですか」
「今思えば、教え方を鍛えてもらったとも言えるな。……懐かしい話だ」

吉羅は優しい眼差しと微笑を湛え、香穂子を見ている。
彼の胸には、その昔の情景が浮かんでいるのだろうか。
それは現在の香穂子と重なり、二重写しになっているのだろうか……


「――無駄話はここまでにしよう。次の問題は……」

そして、数学のみならず、香穂子へのマンツーマンの補講は終わった。
彼はあらゆる教科での彼女の不足を補ってくれた。

自然と尊敬の念が湧き出てくるし、それが恋愛感情を増幅させるには充分すぎるほど効果的だ。
学院理事長である吉羅が、まるで香穂子の家庭教師さながらに、丁寧に、しかもわかりやすく指導してくれる。
厳しさ一辺倒ではなくて、辛抱強く香穂子が正解へと辿り着くヒントを示しながら、そこへ導いてくれる。
親身になってくれる彼の期待に応えたい。
つきっきりで指導されて、数時間は経過しているところだった。

「これで今日のレッスンは終了だ。明日もまた頑張るように」
「はい、理事長に教えて戴いたのを忘れないように頑張ります」
香穂子は感謝をこめて、吉羅に頭を下げた。
そんな彼女を労わるように優しく、吉羅は声をかけてくれた。
「今日の君は、よくやったと思う。しっかりと休息をとりたまえ」

「――はい!」


(この項一応おわり。が、エロ展開書き途中w)


アメと鞭っすなあwww

最初からこんな感じで優しく接してくれてたら、そもそもコルダ2のように、強権的な独裁者じゃないだろうけど…

あーそれにしてもかほたんがうらやましいいい

では期待されてたちょいエロも書くかwそっちはパスつきで公開する予定です♪

拍手[5回]

ある日、香穂子がいつものように森の広場でヴァイオリンの練習をしていると、普通科の友人が声をかけてきた。

「香穂、頑張ってるね!私、音楽のことは正直よくわからないけど前より素敵になってると思うよ」
褒め言葉に嬉しくなった香穂子は、微笑んで「ありがとう」と返した。

「……でもさ、もうすぐ試験だよ?ヴァイオリンの練習ばかりだと試験勉強が疎かにならないかな?熱心なのはいいことだけどさ。赤点取っちゃったらまずいし、少しヴァイオリンの練習を休んだ方がいいんじゃないのかな?」

言われてみれば、そうかもしれない。
ここのところ弾くのが楽しくてヴァイオリン練習ばかりをしているが、そろそろやりすぎじゃないかとは感じていたのだ。
試験勉強からの逃避を兼ねて、楽しいヴァイオリンに身を入れすぎている。
「うん、そうしようかと思ってる。ここんとこちょっと演奏一辺倒になってた気もするの」
「――でしょ?楽器の演奏もいいけれど、勉強も大事だよ」

そこへ、音楽科の制服を着た男子生徒が通りがかった。

「ちょっと待った!日野さんは音楽祭のメンバーなんだぞ?音楽科の生徒に比べれば、たいしたことのない音色しか出せないんだ。もっとヴァイオリンの技術を研鑽してもらわないと納得がいかない」
男子生徒は憤った様子で一気にまくし立てた。
「大体、試験くらいでヴァイオリン練習を休むなんて、本気で打ち込んでない証拠だ」

「――ちょっと!それはさすがに言いすぎじゃないの?」
友人がムッとして言い返すが、彼も負けてはいない。
「普通科の生徒には、音楽祭の参加資格を奪われた気持ちはわからないよ!日野さんが普通科から選ばれたせいで、出場できる枠は一つ奪われたんだ。これでもし下手な演奏なんかされた日には、僕ら選抜から漏れた音楽科生徒の立場がない」
「だからってそんな、押し付けるようなこと――!」

二人の生徒の間に険悪な空気が漲っていくのを、香穂子はどうやって止めたらいいのか途方に暮れていた。

そこへ、聞き覚えのある低い落ち着いた声がかかる。

「何を言い争っているのかな?」
「吉羅理事長……!」
出し抜けに現れた学院理事長の姿を認めて、音楽科男子の声と表情に驚きが満ちる。
ちょうどいいところで来てくれた吉羅に仲裁に入って欲しい。
香穂子は、事のあらましを吉羅に説明した。

「……なるほど。確かにどちらの言い分にも理はあるな。音楽科の生徒としては、音楽祭の代表者には完璧な演奏を期待するだろう」
「当然ですよ。だったら――」
「けれど、君は自分が音楽祭に参加できない不満を彼女にぶつけていないと言えるだろうか?」
「……うっ……」
吉羅の指摘に、音楽科男子が口ごもる。
どうやら図星だったようだ。
次に吉羅は香穂子の友人の方を向いた。

「そして、君の意見だが、私ももっともだと思う。ヴァイオリンの練習ばかりで勉強がおろそかになるのは望ましいことではない」
「ですよね!だったら――」

「しかし、ヴァイオリンの練習は一日休むと感覚を取り戻すのに三日かかると言われている。毎日のたゆまぬ努力は必要だ。まして日野君は音楽祭の選抜メンバーなのだからね。その自覚があるのなら、なおさら練習をおろそかにはできないだろう」
「そ、それはそうですね……」

「どちらの言い分も正しい。価値観が異なるだけだ。だが、自分の価値観を振りかざして、相手に強要するようなことがあってはならない。個人の価値観は尊重されるべきものだと私は思っているが、……君たちはどうなのかね?」

吉羅の、一分の隙もない論理的な言葉に説得されて、音楽科の男子はうなだれていた。
香穂子の友人も同様に、吉羅に頭を下げた。

「はい……」
「わかりました、すみません」
「結構、双方納得いったようだね。それでは、私はこれで」

吉羅は喧嘩を丸く収めると、その場を去って行った――

翌日、香穂子が廊下を歩いていると、男性教師と話している吉羅を見かけた。
「音楽祭のメンバーは、日野さんから変更した方がいいのではないでしょうか」
「何故、そう思われたのです?」
「昨日、彼女が原因で普通科の生徒と音楽科の生徒が言い争っていたと聞きました」
吉羅は黙っている。
それを仲裁したのは自分だと言わないのは何故だろう。

「それに、日野さんは技術的にも未熟です。かといって練習に打ち込んでいては学業の成績を落としてしまうでしょう。ですから――」
話を続けようとする男性教師を制し、吉羅が口を開いた。
「――わかりました。では、私が責任を持って彼女を成長させましょう」


香穂子は自分の処遇がどうなるのか気がかりで立ち聞きしていたところ、思いっきり吉羅と視線が合ってしまった……

「おや、噂をすればなんとやらだね。日野君、というわけでこれから暫く私が君の面倒を見る。ヴァイオリンも試験勉強も、他の人間に文句を言わせないようにするから、そのつもりでいるように」
「り、理事長が、私を……?」
「――日野さん、理事長がこう仰っているのだから、学業も演奏も頑張るようにね」
男性教師はそう言って職員室の方へと向かった。
香穂子は詳しい話を吉羅に聞きたかったが、もうじき昼休みが終わる頃合だ。

「今は込み入った話をしている暇はない。放課後理事長室に来るように」と言い置かれて、立ち去られてしまった。

突然の急展開に混乱しつつ、反面楽しみでもある。

自分の窮地を鮮やかに救ってくれた吉羅が、なんと勉強と演奏までも指導してくれると言うのだから、期待しないではいられない。

自分を成長させてくれると吉羅は言っていた。
それこそ願ってもない。
吉羅が指導をしてくれるのなら頑張るという気持ちになれる。
香穂子は弾む胸を押さえながら、放課後になるのを待ち受けていた……

(第二段階に続く)

拍手[3回]

――今夜までに、この策定資料を仕上げなければ。
私は日野君にコーヒーを淹れてもらう傍ら、ひたすらにPCに向かって文書を練り上げる作業に没頭していた。
「ねえ、理事長。今夜の月はスーパームーンって呼ばれるそうですよ」
なんだそれは……どこかのアニメの主人公のような名称だな。
無粋な呼称だと思いつつ「それがどうかしたのかね」と、口先だけで彼女をあしらう。


昨晩が満月だったのだが、生憎の曇り空でよくは見えていなかった。
今夜は月が最も地球に接近し、大きくはっきりと見える。
その現象をスーパームーンと呼ぶのだそうだが、もう少し気の利いた名付けはできないものだろうか。
「で、スーパームーンがなんだって?」
作業中の手を止めて彼女の方に顔を向けるが、彼女は言葉を濁した後に、黙り込んでしまった。
多忙な時だからこそ、女性特有の拗ねたり愚図ったりという現象は苦手だ。
ただでさえ気持ちがささくれ立っている時に、変に絡まれては敵わない。
「言いたいことや、したいことがあるのならはっきり言ってくれたまえ」
こちらは超能力者でもなんでもないのだ、口に出して言わずにいる事柄を察知しろなどと無謀な要求は御免被りたい。

「お忙しいのはわかっています。でも、今夜は五分間だけ私にください――」
おやおや、随分と控えめな要求だ。
この状況を理解してくれているのはわかる。
今夜のうちにまとめねばならない文書を作成し、現在打っている文をその叩き台にはしておきたいのだ。
「――わかった。三十分ほど待っていてくれたまえ」
「はい」

私の叩き続けるキーボードの連続した音だけが、理事長室に響いている。
今は頭脳をフル回転させている時なので、下手なBGMも何も要らない。
ただ静かにそこに居てくれるだけ、それだけでいい。
彼女が傍に居ることすら忘れかけてしまうほど――静かだ。
時折彼女が読む本のページを繰る、紙の擦れる音の他には、部屋の中は静まり返っている。
最初こそ彼女は私の文章を打ち込むスピードに驚嘆していたが、そのうちに興味を失くしたようだ。
ああ、真面目に秘書が欲しい……
自分で何もかもをこなさなければならないのは、時としてオーバーワークとなり果ててしまう。
取り立てて有能でなくともいい、凡庸でいいから自分の仕事を代わりにこなしてくれる人材が居てくれたらいいのに。

弱気な思考が浮かんでしまうのは、やはり疲労がもたらしているのだろう。
――現実には有り得ない希望的観測を持つなどとは、くだらない。
そんな戯言は心の片隅に追いやり、ひたすらに目前の作業に没頭する――



――やっと一段落つきそうだ。
私は作業をやめて日野君の方に顔をやると、彼女も私の視線に気付いた。
腕時計の盤面の時刻は夜の八時を示そうとしている。
「これで大方の目処はついた。君を送って行こう」
なんとも言えない微笑を浮かべる彼女が、いじらしく思える。


私が駐車場の方へは向かわず、徒歩で正門に向かって行くのを見て彼女は車には乗らないのかと訊いてきた。
「せっかくの月を見るのならば、歩いて日野君の家まで送って行くよ」
手も繋がず、腕も組まずに肩を並べて歩く。
夜空に浮かぶ星々と、望月から一日経ってほんの僅かに欠けた月を眺めながら。

ゆっくりと歩く彼女に合わせて、秋の気配を伝えてくる夜風に吹かれながら足を運ぶ。
ちょっとした散策気分を味わいつつ、彼女の住居までの約一kmを歩いて行く。
今は暑くもなく寒くもなくて、昼間よりも少し冷えた夜気が心地いい。
「――あ、すごい。きれい……」
月の周囲が薄い雲に覆われ、その丸い輪郭が光でぼやけたように滲んでいく。
月光を丸く囲むようにして現れた複雑な色合いが、まるで円形の虹のように広がって見える……
「……ああ。虹のようだな……」
暫し足を止めて、その幽玄な現象に見入るために道の端に佇んだ。


雲が厚くなり、月の姿を覆い隠す頃に再び歩き出す。
「――昨日は十五夜だが、今夜はなんと言うか知っているかね?」
気の利いた教師ならばその手の説明があるやも知れないが、相手はあの金澤さんだ。
おそらくは風流ごとに関する話題など出しはしていまい。
「いえ、わかりません。……十五の次は十六だけど……?」
「十六夜と書いて、いざよい、と読むんだ」
「十六夜……素敵な響きですね。今初めて知りました」
やはり知らなかったか。
花鳥風月、四季折々の事象に触れて感性を磨くのは彼女のために他ならない。
「せっかく、日本古来からの美しい言葉があるのだからね。無粋な外来語で表現されては興醒めというものだ」
「そうですね。私もそう思います」


――そうしているうちに、日野家の門前まで辿り着いた。
「じゃあ……。あの、今日は嬉しかったです」
月見の散歩が嬉しいなどとは、ずいぶんとささやかで可愛らしい望みだ。
そんな彼女にとある言葉をかけたくなってしまった。
「今日は、月が本当に綺麗だったね」
「……ええ。そうですね」
言いながら、彼女は首を傾げている。
やれやれ、これも通じないか。
私は苦笑を浮かべつつヒントを与えることにした。
「月が綺麗ですね、の語句で検索してみたまえ」
「あ、ちょっと……」

引き止めたがる彼女の言葉を背に小さく手を振り、私は学院の方へと踵を返した。
ここで全ての種明かしをしても面白くない。
後は彼女自身で、答えを引き当ててもらわなくては。



今頃はさぞ驚いているか、慌てているだろう彼女の反応を思うと、いつしか唇が笑いの形を描いているのに気付く。


――何気ない日々の、変わりゆく季節の移ろい。
小さなことでも共有できる相手がいるというのは、悪くはないものだ。

拍手[16回]

「理事長、知ってますか?今日の月ってスーパームーンって呼ばれるらしいですよ」
「……それは知っているが。それがどうかしたのかね?」
香穂子の問いかけに顔を上げもせず、PCに向かっている吉羅。

「……どうかしたのか、って言われても……」
まさかそんな返しが来るだなんて思ってもいなかったので、香穂子は口ごもってしまった。
そんな、木で鼻を括るような言い方をされるとは予想外だ。
ただ一緒に、美しい月を眺めることができたなら嬉しい。
そう思っただけだったのに、吉羅はひどく素っ気ない態度なので、この話題には無関心そうだ。

軽やかなキータッチの音が静寂に満ちた部屋に漂い、キーボードの上を素早く動き回る吉羅の手指を、香穂子はじっと見つめた。
しなやかな、まっすぐに伸びた美しい指先。
今は真剣に仕事に励む吉羅の整った顔に見入り、やっぱりかっこいいなあ……と胸の裡で呟いた。
ただでさえ仕事に打ち込む男性の姿は二割増しくらいに見えると言うが、吉羅の場合はもっと、それ以上に……


少しの沈黙の後に、吉羅が手を止めてモニタから顔を外した。
「で、スーパームーンがなんだって?」
「いえ、あの……」
少しの間でいいから、一緒に眺めたいと言いたい。
でも、彼は今とても忙しそうだ。
「言いたいことや、したいことがあるのならはっきり言ってくれたまえ。伝えもしない要望を私が察しないからと愚図られたり、拗ねられるのは苦手だ」
きっぱりとそう告げられてしまうと、言い方はきついのだが彼の言い分ももっともだ。

「――とてもお忙しいのはわかってます。でも、今夜は五分間だけ私にください。理事長と一緒に、月を見たいんです。それだけです」
香穂子の顔を見つめる吉羅の視線を感じながら、一気にそれだけをまくし立てた。
「了解した。あと三十分ほどでこの文書作成を終えるから、それまで少し待っていてくれたまえ」
「はい……」

すぐに吉羅はモニタに顔を向け、再度滑らかなキータッチ音を響かせ始める――
その音がなんだかリズミカルで、キーボードを使っての音楽演奏のようにも思えてくる。
吉羅が文章の入力をしている動作は目にも止まらないほど素早くて、彼の頭の中で既に完成している文章が、何もないモニタの空隙を埋めて叩き出されていく様は圧巻だ。
この人は、本当に頭がいいんだな……
そんなことを思いながらも、香穂子の存在など忘れたかのように仕事に熱中している吉羅の姿を見守っている。


――もうすぐ、こんな関係になってから一年。
その間に、数え切れないほどの出来事があった。
最初は、この理事長室に入るのがとても怖かった。
入ろうとしてもなかなか勇気がなくて、ドアの外で立ちつくしていたのを覚えている。
それが、今では彼の要望でコーヒーを淹れるために呼び出され、喜々として応じている。


退屈しのぎに書棚にある本を読みながら、香穂子は吉羅の仕事が一段落つくのを待っていた。
少し待てと告げてから約三十分が経った頃、彼の手が止まった。
「日野君。もういいよ。これでとりあえずの目処はついた」
時刻はもう夜の八時近くになっている。
「少し遅くなってしまったな。送って行こう」


校舎から出ると、吉羅はいつものように駐車場には向かわず、まっすぐに正門の方へと歩いて行く。
「今日は車、乗らないんですか?」

「せっかくの君の誘いなんだからね。たまには歩いて行こうじゃないか。月見の散歩も悪くはない」
香穂子と肩を並べ、ゆったりとした足の運びで歩く吉羅が微笑している。
手を握ることもせず、ただ隣り合って歩く。
「――昨夜が満月だったそうだね。しかし、スーパームーンというのはなんとも無粋な呼び方だと言おうか……」
「昨日の満月と、地球に最接近する今日の月とは一日ズレたそうですね」

ガードレールの内側、道の端に寄ってゆっくりと歩きながら、二人とも互いの顔は見ず、視線は夜空に向かっている。
「わ、すごい……雲が……」
まん丸にしか見えない月を、薄い雲が淡く覆うと、月の周囲にまるで虹のような美しい色彩が縁取るようにして現れた。
「虹のようだな……」
吉羅も立ち止まって、月の周りを流れる雲が行き過ぎる様に見入っていた。


香穂子は、そんな彼の端正な横顔にちらりと視線を移す。
――白銀の月光を浴びている吉羅の姿こそ、なんとも言えずに際立って映える。
「昨日は十五夜だったそうだが、今夜はなんと称するのか知っているかね?」
「いえ。あ、でも……十五の次だから、十六日でしょうか?」
「十六夜と書いて、いざよい……と読むんだ」
「十六夜……きれいな響きですね。今、理事長から教えられて初めて知りました」
「せっかく、日本古来の美しい響きの言葉があるのだから、その呼び方をしたいものだね。無粋な外来語など使っては興醒めだ」
「そうですね……私もそう思います」
香穂子は吉羅に同意をして、彼を見た。


香穂子の家の前まで来て立ち止まった吉羅に「ありがとうございました。……嬉しかったです」と彼女は一礼した。
「今夜の月は、とても綺麗だったね」
香穂子の顔をまじまじと見つめながら、吉羅は意味ありげに笑っている。

何をわかりきったことを、と思いながら香穂子は首を傾げた。
「……わからないか。月が綺麗ですね、という語句で後で検索してみたまえ。では、おやすみ」
「えっ、あの――」
吉羅は片手を軽く振ってみせて、学院の方へと歩いて戻って行った。
その背中が小さくなるまで見ていた香穂子は、早速自室へ戻って着替えると携帯で検索を始めた。


検索した結果、香穂子はびっくり仰天する羽目になった――
それはつまり、一種の遠回しなプロポーズの言葉になるのだ。
しかも発案者は夏目漱石で、英文を婉曲にこう表現する、日本人の奥ゆかしさを表すための、創作なんだというエピソードが綴られていた。

――また、こんな思わせぶりを仕掛けてくる。
博識な彼の言葉に翻弄されて、惑わされて、あれこれと考えさせられて――
それでも、それが心地いい。
「十六夜……か」
香穂子は窓を開けて、暫し美しい月を眺めた。

こうやって、彼と同じ月日を重ねていけたら……
香穂子の胸の中に潜む、密やかな望みだった。

拍手[13回]

プロフィール
HN:
yukapi
性別:
女性
職業:
イラストレーターみたいなもの 自営
趣味:
読書。絵を描くこと、文章を書くこと。
自己紹介:





なんだかいろいろと絵や漫画を執筆中。…吉羅理事長勝手ノベライズ+捏造小説他公開中.理事長ゆず風呂漫画3完成して一応完結しましたw





100万人の~をベースに現在の時系列で勝手ノベライズ&完全空想エロありエピソードを書いています。時に微エロ・ハードエロありですのでご注意を!







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