忍者ブログ
Since2013.10~「100万人の金色のコルダ」、漫画金色のコルダ、Vitaのゲームをベースに、吉羅暁彦理事長と日野香穂子の小説を連載しています。現在単発で吉羅理事長楽章ノベライズや、オクターヴの補完テキスト、パロディマンガ無料掲載中。一部パスワードあり
〓 Admin 〓
<< 03   2024 / 04   1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30     05 >>
[11]  [12]  [13]  [14]  [15]  [16]  [17]  [18]  [19]  [20]  [21
なんか暫くぶりに自ブログ見てます…ログインパスワード請求されるほど、一週間くらい見てなかった…

今もなおのぶニャがに夢中です…というのも、我が愛しの「きニャ暁彦」様の育成に夢中なのですw
理事長様への愛は微塵も変わっておりませぬ!!
更にニャがコラボで本家本元「100万人の信長の野望」にまで手出しする始末です…
その昔弟がハマってて「何が面白いんだよ」とか思ってましたが面白いんですよこれが!!

ついつい「影武者徳川家康」や「SAKON」池上遼一様作画の「信長」、そして横山光輝作の信玄・秀吉・信長・勝頼・正宗・家康まで全部引っ張り出して再読している最中ですorz
中高生の頃これにハマってたら歴史の成績もっと上がってたはずw

毎日戦国時代のお話ばかりが頭を巡り、歴史マンガのお陰でニャがに出てくる「ねこ武将説破」クイズ3つのお題、何も見ずパーフェクトに回答することもできるようにw

きニャさまこと吉羅暁彦様。
猫の姿ですが、彼の得意技「交響曲」かなり使えます。
遠距離から多人数目掛けて400~500ものダメージを負わせることができます。

「必殺」身につけてた頃には一撃で相手を殺せましたが、今は「智勇兼備」移植させたのです。
あと早合レベル3を、佐々さん6枚くらいで「早合4」にアップさせましたw
(移動速度や術の発動速度が速くなる。つまり吉羅様のターンがバシバシ続くことが増える)
まだまだ佐々さん、ニャーゴロさん、他早合素材げとしてあるので早合5にさせるか。

始めて1ヵ月、初心者しかも微課金の我が隊の不動のエースですw
そんで金やんの「ねこやなぎ3」かなり発動するのでなかなか面白いかも。金やんも早く覚醒させたい。佐々木スコじろうもかっこいいので覚醒させたい。猫足レベル5にさせたら相手の攻撃かわしまくりで凄いですw

……そんなこんなで、すっかりニャがの合間にコルダをやってる感じになってしまいました…が。


前回の理事長…「誰これ?」って感じの仕上がりでしたが…
ハロウィンナイトのイベ、シナリオのノベライズではなくて、吉羅様の視点の独白にさせようかと思案中です。

まだこのブログを見てくださってる方、書いて欲しいよという励ましの意味での拍手をお願いします♪

拍手[4回]

PR

(のぶニャがコラボ!きニャ暁彦様を買った私が、きニャ様を使った戦闘を、吉羅暁彦理事長からの視点で回想します。なるべくのぶニャがを知らない方にもわかりやすく書いたつもりです♪)



……今回も、総大将は私に決まった。
まあ私の職業は軍師であることだし、知略を駆使した戦法や兵法はお手の物だ。
今度の戦場は比叡山の裾野にある。
一見開けた土地に見えるが、どっこい岩の壁があちこちに屹立して狭い一本道が三本あるのだ。
そこへ侵入して行けば敵陣からの一斉攻撃を受ける、その覚悟で臨まなければならない過酷な戦地だ。

相手軍を率いる総大将は織田のぶたニャー(信忠)だ。
かの第六天魔王・信長の嫡子である彼は、父親そっくりの酷薄な目つきが非常に印象的だ……勿論悪い意味で。

私の陣は、鉄砲隊を率いる狙撃力が高い侍大将がシャムづ(島津)家久。
彼は火属性レベル11、攻撃力94、勲功値225の歴戦の勇者だ。
伏兵看破・陣中見舞い(周囲の人間の体力が回復する)、完璧主義者という高スキルを身に着けた軍師・月森君はレベル14、勲功値134の足軽大将。
騎馬武者レベル14の王崎シンぶ君の本業は僧侶であり、どうも敵に塩を送るのが趣味らしい。(信武でしのぶとは読ませないらしい)
何故か職業が「茶人」の組頭、レベル14かニャざわ紘人。
彼は多々のスキルを身に着けているにも関わらず、猫特有の気まぐれさでそのスキルを発揮させる機会は少ない。

そんな、頼りにしたいのだがあまり頼りにならない?味方に、攻撃力を重視した凸状の陣を組ませ、いざ開戦。

それらを率いての戦闘についての辛苦を回想してみることにした――
……非常に苦痛を伴う作業ではあるが、後の試しにもなるだろう。
のぶニャが世界に紛れ込んでしまった私の苦渋の一端でも、私のファンである女性陣に知ってもらえるのならありがたい。
無論、男性陣も是非ご一読のほどを。


――まずは王崎君の騎射からだ。
馬に乗った上での射撃はタイミングが非常に大事だが、その点は心配ない。

彼の力量は攻撃力142、防御64、速度89等、総合レベル30にまで上げてあるのだ。
もっとも、攻撃力212、防御力108、速度118等で総合レベルが50に到達した私には比肩しえない。

私は既に「覚醒」している――
つまり、初期段階での修練の限界を突破して、中期に入ろうとしていた私は覚醒段階一段目で攻撃力50アップを選んだのだ。
その私の異常なほど高くなっている戦闘力には遠く及ばないが。
次に目指すべく第二段階では兵力を増やそうかと思案中である。

王崎君の馬上からの銃撃は、雑兵に399のダメージ。
もう片方の雑兵からの攻撃を難なくかわした。
私が横から彼の援護に出てきて、射撃で651のダメージを与える。
金澤さんの得意技「ねこやなぎLV3」で相手は挑発されて、頭に血が昇った。

王崎君の馬が敵を蹴り上げて350のダメージだ。
私は相手騎馬の突進を躱しつつ体勢を反転させて銃を撃ち、「交響曲」
――必殺技に該当するのだろうそれで、相手の一将に1200もの瀕死の重傷を負わせた。
「ニャー」と悲しげな声をあげて敵陣の外に逃亡した将は、死亡確定だ。
無様な敗走をする際に可愛らしい鳴き声をあげて、汗の粒を散らしている様はいつ見聞きしても笑える。

王崎君は、「岐阜中将」などという謎の技を食らってしまった。
なんだこれは、初めて見るものだ。
そういえばのぶたニャーの官位がそれだったか……確か、権の中将に任ぜられたばかりなのだったな。
己の官位を声高に吹聴するという馬鹿げた技に苦笑したくなる。
それは常識人の王崎君もさぞ面食らったことだろう、かわいそうに。

別な側面からも突かれて、王崎君は合計430ものダメージを受けた。

更にのぶたニャー(信忠)と敵武将の二匹は五輪奥義、「篭絡の計」を繰り出した……
なんたる不覚か……!
金澤さんの頭上には、ピンク色に輝く愛らしいハートマークが灯ってしまった。


……男が、いかつい男に篭絡されて一時でも心を奪われてしまうとは。
それも、相手は第六天魔王信長の嫡子であるのぶたニャーだ。
あろうことか、あの冷血の輩に心惹かれるなどとは……
世間的には冷徹と評されて、「第六天魔王のぶニャがを演じるには最適」とお墨付きを得ている私と行動を共にしている時点でお察しなのか?
私の同僚でもあり先輩でもある金澤さんが、こんなくだらん策に陥るとは……!

戦端が開かれてすぐに波状攻撃を受ける味方陣の、目を覆いたくなる惨状だが、総大将である私が動揺している姿を晒してはいけない。
ここは意地でも平然としていなくては。
私は憤怒の気持ちで交響曲を唱えると、1244と446、321という大ダメージの一撃を一挙三人に浴びせた。
これほどの凄まじい攻撃を見た者はあるまい。
私は初期段階にはありうべからざるレベルの、異常とも言える火力を誇っているのだ。

隘路に追い込まれて集中攻撃を受けている王崎君に目配せすると、彼が頷く。
私と王崎君により「医心方」の詠唱を行った。
これで彼の傷がかなり回復し、1000ポイント中800近い体力を取り戻せた。
しかし、その矢先に王崎君は150、200と連続して打撃を受けた。
折角、無傷であった私が苦労して王崎君の為に繰り出した回復技なのに。

相手は「土竜攻め」を仕掛けてきた。
これは「一定の確率で、敵複数の防御力を下げる」ものだ。
金澤さんがそれを食らうが、未だ正気に返っていない彼は頭上にピンクのハートを浮かせたまま、なんと味方である王崎君を銃で撃った。

僅か25のダメージだが、情けないにも程がある。
男に誘惑された挙句に同士討ちをやらかしてくれるとは。
ああ、所詮は茶人などという風流者を装った無頼漢など連れてくるのではなかった……

今頃島津、いやシャムづの「狙撃LV1」が出て、相手に120のダメージを与えた。
そして今までほぼ存在を感じることのなかった月森君が、4ターン目にしてやっと銃を撃った。
遅い、遅すぎる。
遅きに失する。
大体が、「陣中見舞」だのという凄まじい回復技を持っているくせに全く回復役を果たさず、焼け石に水程度の40の極小ダメージを負わせただけかね?
戦場に於いてもマイペース過ぎて協調性が微塵も感じられないのは一体どういう訳なのかね、月森君?

と思ったら、月森君と王崎君コンビによる「赤備え」が出た。
これは敵一体を攻撃し、命中すると自分自身の攻撃力も上がる代物だ。
王崎君に発動したそれは、見事に敵に250のダメージを与えたがその後敵から150、100と連続した攻撃を受けてしまった。
騎馬で敵陣深くに突入している彼が、どうしても集中砲火を浴びてしまう地形に潜り込んでいるのだ。

金澤さんは3のダメージを食らってひっくり返っていたが、未だ彼の頭上にはピンクハートが輝いている……
ええい、目障りな。
私が敵を撃ち、651のダメージ。
なんなのだこの数字は、連続しているな。
その後、島津・月森・王崎による三連続攻撃。
忘れていたが金澤さんもハートを浮かべたまま敵を撃ち25のダメージを与えていた。
王崎君が相手に125、すると相手から250返される。

いけない、王崎君の命は風前の灯だ。
こんな窮地なのに行動力の遅い月森君が「陣中見舞」すら出せずに金澤さんの背後にくっついているのが腹立たしい。
回復役を果たさない彼のせいで、私がわざわざ攻撃ターンを犠牲にしてまで異様に強力な火力を出さず、敢えて回復技を担う羽目になったのに。

そして敵軍の残党が残り2名、総大将のぶたニャーと副将(名前失念、太った茶虎猫、青の着物)のみになったその時。
私の交響曲の出番だ。
今までのストレスを発散するかのように私が攻勢に出る。
愛銃が勢いよく火を噴くと、総大将のぶたニャーに1225の致命傷、更に894で副将を撃滅した。

――かくして、織田のぶたニャーを総大将とする敵軍は私の銃により全滅した。


……敵軍全員を殺し尽くし、殲滅することに成功した。
もはや生き残りは一人もいない。
総大将である私自らが、敵軍の総大将と副将の首級を挙げてみせたのだ。

今回の手柄は私が独占状態だ。


……孤軍奮闘といったところだろうか。
ま、私の獅子奮迅の活躍で敵を全員撃破したのだと言っても過言ではあるまい。
他の味方は正直飾……ゲフンゲフン
いやむしろ私の足をひっぱ……


こうして改めて書き記していると、つくづくそう思う。
私こそが「第六天魔王」のぶニャが役がハマっていると、のぶニャが指南役の「ミャーもと武蔵」に言われたが……

是非も無し。
なりきるのなら開き直ってなりきらないと見苦しい。


のぶニャがコラボのチュートリアルをクリアして、苦戦しつつこの「短編ねこ戦記」で千点取り、なんとか月森君の楽譜を入手しはしたが。
私の戦いはまだまだこれからも続く。

二巡目は、どんどん敵が強くなっていく最中なのだ。

比叡の戦いを終えた私は休む間もないはずなのだが、手傷を負った王崎君や金澤さんを、傷によく効く温泉に入れてやらねばならない。
戦地をのそのそと移動しているのが殆どだった月森君、遠隔地からの狙撃重視なしミャづは、ほぼ無傷でしれっとしているのが小憎らしい。

コルダのグループだからと相性がいいと、我々の編成にニッコリマークが浮かぶのだが、とんでもない。
私が攻撃力重視の火属性、かつ得物は銃なのだが、行動力の素早さも重視する風属性も高いので、同じく俊敏に移動できて攻撃力の高い人材が欲しいところだ。

そろそろ、私は修練レベルを上げるために「器量を磨く」ことをせねばならない。
今の所私はこの軍では最強なのだが、もはや修練レベルが高すぎて50で高止まりをしている足踏み状態なのが我慢ならない。
そこで、コルダでのBPならぬニャオポイント=NPで無料で入手した「高坂ミャさのぶ」を、密かに私のパートナーとして選ぼうとしている。

彼は無料の「ニャオみくじ」でなんと三枚も出てしまったので、そのうち一枚を鍛えに鍛え、彼の身を犠牲にして、持てる戦闘能力を全て私に捧げさせるのだ。

……ん?
なんだね、日野君?
その咎めるような眼はなんなのだね?
それが第六天魔王さながらだと言いたいのかね、君は?
戦国時代、食うか食われるか。
昨日の味方は今日の敵。
現代社会の甘い常識など通用はしないのだよ。

幸いにして彼は火属性、私もそうなので最初から相性は良い。
彼の勲功値もレベルも最大値に引き上げて、鍛錬を重ねたその身を、忠誠を私に捧げてもらう時がいずれやって来る。

その後、彼はどうなるのかって?
なんとなく想像はついているだろう?

無論、彼は消え失せるのだよ。
私の中に彼の能力を宿らせれば、高坂ミャさのぶという本体は消滅する。
惨いのは、例え私の修練レベルを上げられず失敗に終わっても彼本体は消えてしまうということかな。

仕方が無い、これが「のぶニャが」の世界なのだからね。
戦国武将が可愛らしい猫の姿に身をやつしているという外見に似合わず、その世界観はシビアなものだね。
強い者は、より一層の強者を役立たせるためにその身を捧げて尽くす。
戦国の世の理(ことわり)そのままではないかね?

君と論戦したり、ぐずぐずしている暇はないよ。
私はまだやることがあるのだ、今日はひとまずこれで失礼するよ。

ああ……三巡目では、第一章「星奏学院にて」の初回の敵にやられてしまった。
☆5つの強敵の集合体で、相手は「かニャざわ紘人」が率いる精鋭部隊だ。
なんと彼らは四人の将がそれぞれ1450もの手勢を引き連れているではないか。
総大将のかニャざわ紘人自ら1450もの兵を従えているのだから、敗北も致し方ない。
私の第二段階での覚醒では、今は1000しか持てない手勢を増やすことにせねばなるまいな。

私の銃は一度に数名の敵にダメージを与えられるが、私の愛銃ウィンチェスターM70の火力はやはり異様なほど強いのだろう。
とある殺戮小説のタイトルにもそのまま使われている、世界的にも有名なこの銃が私はたまらなく好きだ。

そのうちここの作者がこのスナイパーライフルを構えた私のシリアスな絵を描くだろうから、今少しの間待っていてくれたまえ。
何せ女のくせに……といっては失礼だが、軽度ミリオタに加えて自分までがライフル撃ちに目覚めた狂気のイラストレーター兼漫画家、時に劇画家(自称)なのだから。

この「短編ねこ戦記」では、周回数が増えるごとに段々と敵の強さが増してくるのはやり込み甲斐を持たせるためなのだろうな。

傷が癒えるまで暫し温泉で休憩をとらなくては……

……妻である濃姫に体をほぐしてもらえれば、一層回復が早まる見込みなのだがね?

拍手[3回]

本文を読むにはこちらからパスワードを入力してください。

拍手[3回]

本文を読むにはこちらからパスワードを入力してください。

拍手[2回]

本文を読むにはこちらからパスワードを入力してください。

拍手[2回]

ある日、香穂子がいつものように森の広場でヴァイオリンの練習をしていると、普通科の友人が声をかけてきた。

「香穂、頑張ってるね!私、音楽のことは正直よくわからないけど前より素敵になってると思うよ」
褒め言葉に嬉しくなった香穂子は、微笑んで「ありがとう」と返した。

「……でもさ、もうすぐ試験だよ?ヴァイオリンの練習ばかりだと試験勉強が疎かにならないかな?熱心なのはいいことだけどさ。赤点取っちゃったらまずいし、少しヴァイオリンの練習を休んだ方がいいんじゃないのかな?」

言われてみれば、そうかもしれない。
ここのところ弾くのが楽しくてヴァイオリン練習ばかりをしているが、そろそろやりすぎじゃないかとは感じていたのだ。
試験勉強からの逃避を兼ねて、楽しいヴァイオリンに身を入れすぎている。
「うん、そうしようかと思ってる。ここんとこちょっと演奏一辺倒になってた気もするの」
「――でしょ?楽器の演奏もいいけれど、勉強も大事だよ」

そこへ、音楽科の制服を着た男子生徒が通りがかった。

「ちょっと待った!日野さんは音楽祭のメンバーなんだぞ?音楽科の生徒に比べれば、たいしたことのない音色しか出せないんだ。もっとヴァイオリンの技術を研鑽してもらわないと納得がいかない」
男子生徒は憤った様子で一気にまくし立てた。
「大体、試験くらいでヴァイオリン練習を休むなんて、本気で打ち込んでない証拠だ」

「――ちょっと!それはさすがに言いすぎじゃないの?」
友人がムッとして言い返すが、彼も負けてはいない。
「普通科の生徒には、音楽祭の参加資格を奪われた気持ちはわからないよ!日野さんが普通科から選ばれたせいで、出場できる枠は一つ奪われたんだ。これでもし下手な演奏なんかされた日には、僕ら選抜から漏れた音楽科生徒の立場がない」
「だからってそんな、押し付けるようなこと――!」

二人の生徒の間に険悪な空気が漲っていくのを、香穂子はどうやって止めたらいいのか途方に暮れていた。

そこへ、聞き覚えのある低い落ち着いた声がかかる。

「何を言い争っているのかな?」
「吉羅理事長……!」
出し抜けに現れた学院理事長の姿を認めて、音楽科男子の声と表情に驚きが満ちる。
ちょうどいいところで来てくれた吉羅に仲裁に入って欲しい。
香穂子は、事のあらましを吉羅に説明した。

「……なるほど。確かにどちらの言い分にも理はあるな。音楽科の生徒としては、音楽祭の代表者には完璧な演奏を期待するだろう」
「当然ですよ。だったら――」
「けれど、君は自分が音楽祭に参加できない不満を彼女にぶつけていないと言えるだろうか?」
「……うっ……」
吉羅の指摘に、音楽科男子が口ごもる。
どうやら図星だったようだ。
次に吉羅は香穂子の友人の方を向いた。

「そして、君の意見だが、私ももっともだと思う。ヴァイオリンの練習ばかりで勉強がおろそかになるのは望ましいことではない」
「ですよね!だったら――」

「しかし、ヴァイオリンの練習は一日休むと感覚を取り戻すのに三日かかると言われている。毎日のたゆまぬ努力は必要だ。まして日野君は音楽祭の選抜メンバーなのだからね。その自覚があるのなら、なおさら練習をおろそかにはできないだろう」
「そ、それはそうですね……」

「どちらの言い分も正しい。価値観が異なるだけだ。だが、自分の価値観を振りかざして、相手に強要するようなことがあってはならない。個人の価値観は尊重されるべきものだと私は思っているが、……君たちはどうなのかね?」

吉羅の、一分の隙もない論理的な言葉に説得されて、音楽科の男子はうなだれていた。
香穂子の友人も同様に、吉羅に頭を下げた。

「はい……」
「わかりました、すみません」
「結構、双方納得いったようだね。それでは、私はこれで」

吉羅は喧嘩を丸く収めると、その場を去って行った――

翌日、香穂子が廊下を歩いていると、男性教師と話している吉羅を見かけた。
「音楽祭のメンバーは、日野さんから変更した方がいいのではないでしょうか」
「何故、そう思われたのです?」
「昨日、彼女が原因で普通科の生徒と音楽科の生徒が言い争っていたと聞きました」
吉羅は黙っている。
それを仲裁したのは自分だと言わないのは何故だろう。

「それに、日野さんは技術的にも未熟です。かといって練習に打ち込んでいては学業の成績を落としてしまうでしょう。ですから――」
話を続けようとする男性教師を制し、吉羅が口を開いた。
「――わかりました。では、私が責任を持って彼女を成長させましょう」


香穂子は自分の処遇がどうなるのか気がかりで立ち聞きしていたところ、思いっきり吉羅と視線が合ってしまった……

「おや、噂をすればなんとやらだね。日野君、というわけでこれから暫く私が君の面倒を見る。ヴァイオリンも試験勉強も、他の人間に文句を言わせないようにするから、そのつもりでいるように」
「り、理事長が、私を……?」
「――日野さん、理事長がこう仰っているのだから、学業も演奏も頑張るようにね」
男性教師はそう言って職員室の方へと向かった。
香穂子は詳しい話を吉羅に聞きたかったが、もうじき昼休みが終わる頃合だ。

「今は込み入った話をしている暇はない。放課後理事長室に来るように」と言い置かれて、立ち去られてしまった。

突然の急展開に混乱しつつ、反面楽しみでもある。

自分の窮地を鮮やかに救ってくれた吉羅が、なんと勉強と演奏までも指導してくれると言うのだから、期待しないではいられない。

自分を成長させてくれると吉羅は言っていた。
それこそ願ってもない。
吉羅が指導をしてくれるのなら頑張るという気持ちになれる。
香穂子は弾む胸を押さえながら、放課後になるのを待ち受けていた……

(第二段階に続く)

拍手[4回]

本文を読むにはこちらからパスワードを入力してください。

拍手[14回]

プロフィール
HN:
yukapi
性別:
女性
職業:
派遣社員だけどフルタイム 仕事キツい
趣味:
読書。絵を描くこと、文章を書くこと。
自己紹介:






最新コメント
ブログ内検索
カレンダー
03 2024/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30
P R
バーコード
Copyright(c) 吉羅暁彦理事長×日野香穂子 SS小説・漫画イラスト置き場 All Rights Reserved.* Powered by NinjaBlog
* photo by 空色地図 * material by egg*station *Template by tsukika
忍者ブログ [PR]